2023年5月15日月曜日

にぼしいわしのロケが良い、という話

日々、世の中のさまざまな事物に感動しながら過ごしていますが、最近感動したのは、にぼしいわしのロケのうまさでした。

テレビ大阪の「片っ端から喫茶店」という喫茶店を紹介するロケ番組に、にぼしいわしが出演していまして、2人がテレビでロケをしている姿が珍しかったので、思わず観てたのですが、意味不明なくらいロケがうまいんです。うますぎて面白い。若手芸人とは思えない安定感・安心感があり、挟み込まれる笑いの塩梅もちょうど心地よくて、妙に癒される。ずっと観てられる。テレビ番組でがっつりとロケをするのは恐らく初めて(?)のはずの2人が、何故こんなにスマートで小慣れているのかは全くの謎なのですが…。


※TVerやYouTubeでいろいろ観れます。



最近の芸人のロケの主流は「変なことをする」です。用意してきた奇怪な小道具を披露したり、奇行をして店の人を戸惑わせたり、VTRの濃度を上げるためにとにかくボケを詰め込んだり。これはYouTube全盛期になったことで、「テンポ」と「インパクト」が重視されている流れに呼応したものだと思います。ゆっくりボーッと見れることよりも、一瞬で心を掴んでそのままいかに飽きさせないかに重点が置かれた結果、ペンギンの池に飛び込んだり、店頭の唐揚げに爪楊枝刺したり……。それが今の主流になっているからこそ、ロケ経験の浅い若手芸人たちもこぞって“変なこと”をして爪痕を残そうしています。これは正直、面白いです。スリリングだし、ゴリゴリのお笑いを見てる感じが楽しいし、基本的には僕も好きです。


ただ、そればかりになってしまうと、別のものが欲しくなってしまうのが人間です。いつまでもラーメン二郎ばかり食べていられない。


もう1つ、近年のロケ番組にうっすらと「うーん」となっていることが、「街」や「街の人」が無視されすぎてるところです。「街」や「街の人」をただの“背景”にした上での大喜利合戦みたくなってしまっている感があり、その敬意の無さが少し残念だなと思っていました。


「片っ端から喫茶店」を観ていてすごくうれしかったのが、番組の制作サイドも、にぼしいわしも「店の人」と「街」にすごく敬意があったことでした(そもそも番組の性質がまったく違うのですが、そこは今回はツッコまないでください)。にぼしいわしはネタを見ればわかる通り、むしろ奇怪や発想やイカれたボケを得意としているタイプの芸人なのですが、それを封印しても「街」への“まなざし”からちゃんと面白さが溢れているし、目の前の景色や人に真っ向から向き合っている。でもただの真面目にはならず、ちゃんと面白くなっている。これ、すごくタモリ的で素敵な感じがしました。ジャンクフード的なコンテンツが飽和したこと、「タモリ倶楽部」終了したことなどが重なり、ブラタモリやタモリ倶楽部のような番組を担える人の価値が今後は高まっていく気がします。


今、思い返しても謎なのですが、「タモリ倶楽部」の、ちゃんと面白いのに、それだけじゃなくて観てるだけで癒される感じはなんだったのでしょうか? うまく分析できないまま、番組は終わってしまいました。味わうことができなくなってしまったあの感覚に近いものを味わえたのが、にぼしいわしのロケでした。ネタはイカれてるのに、ロケは癒される。そこになんだか「Yeah!!」となってしまいました。

2023年5月5日金曜日

植物園の展示スペースにひっそりと佇んでいた天才の話

先日、植物園に行ったところ、そこで「こども&おとな ラン大賞」というコンクールの作品がズラッと展示されていました。「こんな蘭の花があったら楽しいな」という想像力のもと、自分でオリジナルの蘭の花を粘土で作る企画だそうです。


「あら、いいですね」と作品群をじっくり観賞しましたら、とても楽しい気持ちになりました。大人の部よりも子供の部のほうがパワーがあって良かったです。著作権フル無視のカービィの花とかもありました。その「細かいことは知ったこっちゃねえ」感が力強さの秘訣でしょうか。

逆に大人の部はつまらなかったです。「SDGs」をテーマにした作品とか、そんな感じのものばかりで「そんなに大賞が欲しいか? キッショ!」と思いました。大人になるって、媚び方を覚えることなんですね。



子供たちが作った個性豊かな花を楽しんでいると、1つだけ隔離された謎の作品が目に入りました。


なんだこれは?
近付いてその作品を見た瞬間、私は雷に打たれたかのような衝撃を受けたのです。













「じゅんのすけ」と名乗る子供が、小さな球を作り、それをコンテストに提出していたのです。
タイトルはズバリ「ちきゅう」。
そう、これは紛れもない、E A R T H を表現した作品だったのです。

みんなが当たり前のように守っている「植木鉢の上に咲かせる」というフォーマットをガン無視。じゅんのすけからすれば、手のひらサイズの植木鉢なんて小さすぎる。彼にとっては地球そのものが蘭の育つ大きな植木鉢だったんですね。

いや、もしくは地球そのものが蘭で、宇宙がその植木鉢なのかもしれません。地球にはたくさんの蘭が咲いていて、そのすべてを表現しようとすれば、地球の形になるのは必然ということでしょうか。そうすると、地球は蘭でもあるし、チューリップでもあるし、紫陽花でもあります。地球には無数の種類の植物が生きていますが、それをわざわざ分類しているのは人間であり、宇宙目線で考えれば「地球」という1つの生物。あらゆる動物や植物が地球とイコールの存在なのかもしれません。

私はショックを受けた状態で、ヨロヨロと植物園を出ました。じゅんのすけはこの先、とんでもない芸術家になるのでしょうか。それともひっそりと健気に日常を生き続けるのでしょうか。彼がどのような子供なのかは一切わかりませんが、植物園の展示スペースにとんでもない作品がひっそりと置かれていて、私は奇跡的にそれと出会えた。あの小さな地球は、私の脳内で自転を止めていた惑星に、隕石として衝突してくれたのだと思います。私の惑星はまたゆっくりと動き出しました。ありがとうございました。じゅんのすけ。

ちなみに、じゅんのすけの作品の背後に「自分の承認欲求を子供で満たそうとするタイプの親」の気配が一瞬よぎりそうになったのですが、すぐに思考を停止させました。そんなことを考えれば考えるほど、つまらない「大人の部」のような作品しか作れない人間になってしまうと思ったからです。私はじゅんのすけを信じています。おばけも。

2023年5月4日木曜日

「独断!日本の全音楽グランプリ2023」4月の結果

【独断!日本の全音楽グランプリ2023】

<概要> ・私が2023年に日本で“リリース”されたすべての音源を聴きます。その中から優勝者を決めます。日本の音楽強制参加型J-POP賞レースです。 ・お笑い賞レースの形式を模倣して「1回戦(日本の音楽すべて)」「2回戦(500~1200曲)」「3回戦(360曲)「準々決勝(100曲)」「準決勝(30曲)」「決勝(10曲)」と曲を絞っていき、最後に10曲の中からグランプリを決定します。要は「日本の全芸人が強制参加させられ、予選から決勝までの審査をすべて青木1人で担うM-1グランプリ」の音楽版みたいなことだと思ってください。 1カ月ごとに「2回戦進出曲(50~100曲)」「3回戦進出曲(30曲)」を発表していきます。3回戦進出曲×12カ月分=360曲の中から年末に年間ベスト100を決定します。年末までに僕の価値観、日本の音楽シーンが大きく変わる可能性もあり、それによってランキングも変動します。1月の1位だった曲が年末のベスト100に入らず、1月の30位だった曲が年末ベスト100の上位に食い込む可能性もあります。そのため月間ベスト30はあくまでも暫定的な順位です。

2019年の結果

2020年の結果

2021年の結果

2022年の結果


<2023年4月の2回戦進出者>

※2023年4月にリリースされた日本の全音楽を聴いた結果、下記のアーティストが2回戦に進出しました。(太字が3回戦進出)


.BPM / #久保田 / 5mm / A・NAN / Ailiph Doepa / BACK DROP BOMB / BAKU,MARIA,D.O / bed / BHO / BOB / Co / Giallo / Itto,HIZZY / KIRINJI / kohei yamamoto / Lafuzin , BRIAN SHINSEKAI / mayu / NaNoMoRaL / nulye / Official髭男dism / pandagolff / PERUSAN / POPFACES / RHIME手裏剣 as.Shreaky D / Rié / riv yose / Ryou.kkkn / SAGOSAID / SATOL aka BeatLive feat. RITTO / SPHERE of INFLUENCE / Streepz / Super Shrimp / SuperBack / スカスカおせち / すずめのめ / ダンス☆マン / デーメーテール / ハジマルイオン / フロクロ / もう一人の俺 / よしこ / るなっち☆ほし / 浦小雪 / 衛星テレビ / 音速ばばあ / 下町ノ夏 / 玉井詩織 / 空間現代 / 幸 巴 / 高橋あず美 / 佐野仁美 / 上沼オム明 / 真生 / 水谷黒 / 杉山清貴 / 西原さつき / 長瀬有花 / 天国注射 / 福島清香 / 綿貫雪 / 立秋 / 鈴木雅之



30. 杉山清貴 - Nightmare

29. BACK DROP BOMB - RUN FOR COVER

28. 天国注射 - 骨と皮

27. BHO - NewWave

26. 長瀬有花 - プラネタリネア

25. Giallo - Jimmy

24. BOB - 焼酎の唄

23. Lafuzin , BRIAN SHINSEKAI - 1990special

22. 高橋あず美 - SONOMAMA

21. よしこ - プリーズラブミー

20. pandagolff - ZETTON

19. bed - mother ship

18. A・NAN - 朦々たる喪失感 (feat. 雲山 陸)

17. 5mm - 思い出のキュマネリーパシ

16. SATOL aka BeatLive feat. RITTO - FLASH BACK

15. るなっち☆ほし - いちごミントの夏

14. Official髭男dism - TATTOO

13. kohei yamamoto - precious drive

12. デーメーテール - ホワイトデー

11. るなっち☆ほし - 富士山

10. nulye - 31081

9. 音速ばばあ - UPBEAT

8. 浦小雪 - ステラ

7. 下町ノ夏 - ペパーミント・ブルーの午後

6. 西原さつき - 30年後のラブソング

5. SuperBack - JADA

4. riv yose - soft / hard

3. mayu - カラフル

2. スカスカおせち - 陽性でした

1. フロクロ - ビビビビ


■2023年の月間チャンピオン 1月:JUDO

2月:BLACK BERRY TIMES

3月:ノートリアスミノリン

4月:フロクロ