2022年3月21日月曜日

【楽曲解説】 HASAMI group最新曲「HASAMI group shirk danger」 “約2分間の無音部分”の楽しみ方

全世界待望のHASAMI group最新曲「HASAMI group shirk danger」がアップされました。同曲最大の特徴は後半2分間が無音なことです。この試みはいったいどういう意味なのか、簡単に解説できればと思います。

この曲を普通に聴いていれば、約1分40秒の激しいサウンドが鳴り響いたあと、2分間の静寂が訪れます。私は先ほど外を散歩しながら聴いていましたが、曲が終わった瞬間にイヤホンの外から人々の雑踏や電車の音が飛び込んできて、そんな「環境音」や「静寂」が「先ほどまで鳴っていた曲の余韻」といい具合にミックスされ、なんとも言えない味わい深さや情緒をまとっていました。これがサブスク時代の音楽からどんどん失われている「わびさび」なのではないでしょうか。そんなわびさびをこの曲で味わってほしいと思います。


お察しの通り、「HASAMI group shirk danger」はジョン・ケージの歴史的傑作「4分33秒」の応用です。ジョン・ケージの「4分33秒」は「身の回りで鳴っているすべての音が音楽になり得る」というメッセージを含んでいましたが、「HASAMI group shirk danger」はそれとは少し異なります。


「HASAMI group shirk danger」の主題は、後半に2分間の無音を入れることで、YouTubeやスマホで聴いたときに意図的に次の曲との間に2分間の「間」を空けることです。現代の人々が音楽を聴く環境の大半はサブスク、YouTube、スマホのシャッフル再生などで「曲が終わった瞬間、余韻が何もなく、まったく別のアーティストがすぐ流れ始まる」という状態になります。現代において、曲は独立した存在になっておらず、「ノンストップで永遠に続く巨大なシャッフル再生の渦」の中に組み込まれてしまうのです。これにより、それぞれの曲が持つ“余韻”はかき消されてしまいます。この状態から脱却させるためには、作り手が強制的に数分間の無音部分を入れるしかないのではないか……という現代の音楽の再生環境に強烈な皮肉を投げかけているのが、「HASAMI group shirk danger」なのです。(半分ギャグ、半分本気でやっています)


……と御託を並べてしまっていますが、難しいことは考えず、単純に曲が終わったあとの「2分間」の無音を味わってほしいです。サブスク大シャッフル再生時代に失われがちな“余韻”を沈黙や環境音と併せて味わってみてください。この時代ではなかなか味わえない感覚かと思います。


例えば、映画なんかは終わったあと、存分に余韻を楽しめます。エンドロールが終了すると同時に、まったく別の映画のオープニングが始まったら、劇場の観客たちは「余韻に浸ってたのに!」とキレだすと思います。なぜこの感覚が音楽にはあまりないのか? なんとなく不思議です。


私は現代の音楽再生環境に「余韻がなくなってる!」と怒るつもりはまったくないのですが、「余韻や間の素晴らしさを知らないとしたら、ぜひ楽しんでみては」とは思っております。「HASAMI group shirk danger」がその足掛かりになったら嬉しい限りですが、皆さんはどう思うか。



PS.歌詞にもこれに近いメッセージを込めていますが、そこまで解説するのは過保護すぎる気がするので各々で味わいなさい。

2022年3月20日日曜日

記録映像「Spilling」を後日公開します。

昨年、とても下品な歌詞だけど、サウンドとメロディがやたらといい「平成ギャルのひとりごと Spilling こぼれるほどに」という曲に出会いました。詳細を調べても、情報が一切なく、どこの誰がなんの目的でこの曲をひっそり配信したのが分かりませんでした。


このブログでも下記のように紹介していました。


開始してすぐに「今すごく下品なことを言ったけど聞き間違いだろうか?」「これマジで言ってる?」と思うほどにエロい歌詞です。恐ろしいのは、この曲およびアーティストの情報をいくら調べても出てこないこと。Twitterで言及している人も0です。得体が知れない謎の人物がめちゃめちゃエロい歌をこの世にひっそり発表してるの、怖くないですか? 一方で曲自体は2000年前後に流行ったJ-R&B的なサウンドでかなり回顧的。シンプルにめちゃめちゃ素敵です。この曲は一体なんなのか? ふと脳内がこの曲に支配されることがあり、とにかく自分の中での存在感が強烈な作品です。


この曲の正体があまりにも気になりすぎるので、本腰を入れて調査し、その過程を記録したら40分超の映像になってしまいました。後日公開しますので、ごく一部の興味のある方はご覧になってください。


この作品は、言ってしまえば「インターネットで調べる」という単純な行動を40分に引き延ばして映像化したようなものです。そこには「検索の便利さ」と「検索の不便さ」という相反する2つの側面が内包されています。この映像を見て「インターネットを駆使すればここまで辿り着けるのか」と思う人もいるでしょうし、「たったこれだけのことにここまでしないと辿り着けないのか」と思う人もいるでしょう。その2面性が今回の映像の肝だと思っています。


エンタメ作品にならないように作ったので、ドキュメンタリー映画的な楽しさはありませんし、淡々とパソコン画面と文字が映るだけの構成になっています。非常に単調で陰気臭いです。ユーザーフレンドリーなYouTube動画に毒された方々にとっては退屈なものになるかとは思いますが、中学生や高校生にはこういうものをじっくり味わうことで、大衆的な価値観や市場の思惑に引っ張られ過ぎないようになってほしいと思います。この映像がそのための薬になることを願うばかりです。



2022年3月2日水曜日

「日本の全音楽グランプリ2022」2月の結果

 【日本の全音楽グランプリ2022】

<概要> ・私が2022年に日本でリリースされたすべての音源を聴きます。その中から優勝者を決めます。“日本の全音楽”強制参加型J-POP賞レースです。 ・お笑い賞レースの形式を模倣して「1回戦(日本の音楽すべて)」「2回戦(500~1200曲)」「3回戦(360曲)「準々決勝(100曲)」「準決勝(30曲)」「決勝(10曲)」と曲を絞っていき、最後に10曲の中からグランプリを決定します。要は「日本の全芸人が強制参加させられ、予選から決勝までの審査をすべて青木1人で担うM-1グランプリ」の音楽版みたいなことだと思ってください。 1カ月ごとに「2回戦進出曲(50~100曲)」「3回戦進出曲(30曲)」を発表していきます。3回戦進出曲×12カ月分=360曲の中から年末に年間ベスト100を決定します。年末までに僕の価値観、日本の音楽シーンが大きく変わる可能性もあり、それによってランキングも変動します。1月の1位だった曲が年末のベスト100に入らず、1月の30位だった曲が年末ベスト100の上位に食い込む可能性もあります。そのため月間ベスト30はあくまでも暫定的な順位です。


2019年の結果

2020年の結果

2021年の結果


<大会の意義>
毎年「○○年のベストミュージック」みたいな感じでいろんな個人・メディアがランキングを発表しています。大きく分けると「みんなの投票や意見をもとに決めているランキング」「個人が独断と偏見で決めているランキング」の2つがほとんどかと思います。

「みんなの投票や意見をもとに決めているランキング」は、ある程度知名度がないと上位には行けないため、アマチュアが誰にも知られずひっそりと発表していた曲は1位をとるのはほぼ不可能です。僕は知名度が一切ない人がひっそりと発表していた曲が、その年のNo.1の名曲だったという可能性もあると思うので、投票で決めるのはロマンがないですよね…。どれだけお金をかけて宣伝したか、本人がどれだけ熱心に外に向けてアピールしたか、とかそういった非音楽的ものがどうしても影響してしまうと思うので。でも「個人が独断と偏見で決めているランキング」は投票制と比べると、カバーできる曲の範囲がどうしても狭くなってしまう。参加曲の母数が少ないから偏りが出てしまう。

それぞれの問題点をカバーした完璧な「年間ベスト100」を作る方法は1つ。僕が日本の全音楽を聴いて決めるしかないのです。ということで日本の全音楽を聴きました。情報が一切出てこないアマチュアの方々の発表した音楽も気が狂うくらい聴きました。

<2022年2月の2回戦進出者>

※2022年2月にリリースされた日本の全音楽を聴いた結果、下記のアーティストが2回戦に進出しました。


¥$pHin / A:CT / BANZAI JAPAN / BNKR街道 / DOEE / fishbowl / GONN / Grand Royal Tokyo / Hanano / iSomaKi / Kaz Shima / KIRA / L.F.O. / Maple Cafeteria / moeki / MONDO GROSSO / nardius / OYKT / Poruyama / rirugiliyangugili / SAKUra / SKB(スケボーキング) / SLG-8 / SUB ORCA / sucola / Tacumille / Umnoise / Uncle Texx / VOISCAPE / WATER KIN / YORUWA KOREKARA / Yuto Kanai / イズミフミ / イハラカンタロウ / ウィンブルドン総合優勝 / ガールズq/b / スケボーキング / たのしいマグロダンスP / トナリノサティ / のらりくらり / ポイズンベイビーと連絡マシーン / モノンクル / ヤギヌマメイ / 伊藤真白 / 花桜 / 花澤香菜 / 開歌-かいか- / 橘なつ / 佐々木詩織 / 佐久間貴生 / 真園あきら / 青屋夏生 / 大竹涼華 / 白木 快 / 福田唯花 / 文坂なの / 豊田道倫 / 綿貫 雪 / 澪 / 褻


2022年2月の3回戦進出と暫定順位>


30.OYKT - レモグレ

29.綿貫 雪 - ど・よ・よ・ん

28.rirugiliyangugili - CAMELTOE

27.真園あきら - 過ちを御徒町

26.たのしいマグロダンスP - お前は絶対犯罪者になるスペシャル

25.Yuto Kanai - honnojinojuke

24.ウィンブルドン総合優勝 - 吉兆

23.nardius - Power

22.DOEE - Runnin'

21.Grand Royal Tokyo - Balkan Babe

20.青屋夏生 - ジョーク

19.SAKUra - CHA KA PON

18.佐久間貴生 - Kiss

17.YORUWA KOREKARA \ セピア色メモリー

16.褻 - Twilight

15.のらりくらり - 君がいい

14.文坂なの - 輝きin my love

13.大竹涼華 - Humpty Dumpty

12.ヤギヌマメイ - Don't worry be happy.

11.佐々木詩織 - 雪の日のさよなら

10.L.F.O. - Under the rose

9.Umnoise - 優しさの在処

8.SKB(スケボーキング) - 不気味の谷

7.Tacumille - SakuraNoJuke

6.橘なつ - アナキズムJPN

5.開歌-かいか- - トランスフォーメイション

4.Uncle Texx - Dumbazz Z

3.花澤香菜 - Don't Know Why

2.橘なつ - ガマガエル

1.豊田道倫 - 戦火の中を-2022




■2022年の月間チャンピオン 1月:(夜と)SAMPO

2月:豊田道倫