2022年1月10日月曜日

「日本の全音楽グランプリ2021」ベスト100 結果発表

【日本の全音楽グランプリ2021】

<概要>

・私が2021年に日本でリリースされたすべての音源を聴きます。その中から優勝者を決めます。“日本の全音楽”強制参加型J-POP賞レースです。

・お笑い賞レースの形式を模倣して「1回戦(日本の音楽すべて)」「2回戦(500~1200曲)」「3回戦(360曲)「準々決勝(100曲)」「準決勝(30曲)」「決勝(10曲)」と曲を絞っていき、最後に10曲の中からグランプリを決定します。要は「日本の全芸人が強制参加させられ、予選から決勝までの審査をすべて青木1人で担うM-1グランプリ」の音楽版みたいなことだと思ってください。


今年は1カ月ごとに「2回戦進出曲(50~100曲)」「3回戦進出曲(30曲)」を発表していく形式となりました。3回戦進出曲×12カ月分=360曲の中から年末に年間ベスト100を決定します。年末までに僕の価値観、日本の音楽シーンが大きく変わる可能性もあり、それによってランキングも変動します。1月の1位だった曲が年末のベスト100に入らず、1月の30位だった曲が年末ベスト100の上位に食い込む可能性もあります。そのため月間ベスト30はあくまでも暫定的な順位です。


2019年の結果

2020年の結果





【選者・青木からのありがたくないメッセージ】
メッセ①「ベスト100に入った音楽は全部ヤバい」
ベスト100にランクインしているのは約5000曲に1曲あるかないかレベルの名曲なので、どれも本当に素晴らしいです。基本的に一聴すれば「名曲だな」と思える作品かと思うので、それに関してはただただ「聴いてくれ。聴けばわかるさ」と思うのみです。
一方で、一聴しただけではわかりにくい要素が評価されてベスト100に入っていることもあります。「こんなチープな曲の何が評価されてベスト100に入ってるの?」などと思う人の出現が予想される曲は評価ポイントの解説を添えましたので、そちらを読みながらじっくり味わってみてはいかがでしょうか。

メッセ②「音楽を聴きすぎることで逆に視点が偏ってきている」
私は毎日毎日日本でリリースされた全楽曲を聴きながら「何がいい曲か」を考えていました。考えすぎた結果、思考が何週もしてしまい、「カッコいいことはダサい。しかしダサいことがカッコいいみたいな曲ももはやダサい。ダサいからカッコいいことがダサくなった結果カッコよくなっている曲がカッコいい……」みたいなわけわからない捻くれた視点になってしまっていることは否めません。それが正しいとは自分自身も思っていないので、あくまでも「リリースされた全楽曲を聴いた人間はこういうベスト100を作るんだなあ」という面白実験くらい思っていただけると幸いです。「爆笑問題のバク天!」の視聴者コーナーに「日本の全音楽聴いてみた!」という内容でビデオを送った馬鹿な視聴者というイメージです。

メッセ③「流行りの音楽に対するまなざし」
「日本でリリースされた全音楽を聴く」をやっていると、「このジャンルのアーティストが大繁殖してるな」ということもすごくよく分かります。2021年でいうとハイパーポップを取り入れたアーティストがめちゃめちゃ増えました。同じような質感の音楽が量産されているものを延々と聴いていると正直、「どいつもこいつも流行った音楽のマネばかりして恥ずかしくないのか」とげんなりしてきます。
一方で「世界的な流行を取り入れて、時代のニーズに合った音楽を提供している」「現行の音楽シーンに共鳴しながら、受けた影響を自分の作品にどんどん反映していくのは、アーティストとして純粋」と評価することもできるはずです。これは視点が違うというだけで、正しいか正しくないかという話ではありません。
ただ、私のような日本でリリースされた全音楽を聴くという挑戦をしていると、「クオリティは高いけどよく聴くタイプの曲」よりは「クオリティは低いけど、ほかに似た作品が見つからない曲」のほうがどうしても惹かれてしまいます。私が「JAPANESE REAL MUSIC」で収集しているのも、まさに後者に該当する音楽です。そういった偏りがあることはご了承ください。
怖い卓球部「スマッシュ2」の解説でも少し話していますが、各個人の人生が反映された音楽のほうが“強い”と思っています。良い悪いではなく、強い。自らの人生から溢れ出るものを蔑ろにし、誰かの人生や言い回しを模倣した歌詞はインスタント麺やレトルト食品のようなものだと思っています。これは日本の全音楽を聴いていく中で芽生えた感覚で、そこに深くヒットしたものが時折ランキングに入っています。(基本はそういうものを度外視して、楽曲の出来で採点していますが)

メッセ④「名曲は運任せ」
何千曲に1曲あるかないかレベルの名曲はどういうときに生まれるのかをいろいろと考えていましたが、「本人が意図して出している魅力」と「本人が意図していないけど出ちゃってる魅力」が化学反応を起こしているときなのではという気がしています。どちらか一方だけだとグッとこない。両方あっても、それが化学反応を起こしていないとグッとこない。そう考えると名曲を意図して生み出すことはほぼ不可能で、運任せの世界なのかもしれません。




以上を踏まえて、まずはベスト100のダイジェスト動画を作りましたので、こちらをチェックしてみてください。






以下にベスト100曲分を並べてみましたので、まるまる聴きたい人は下記をご参照ください。解説が必要かと思われる曲にはコメントを添えていますが、特に何も添えられていないのは「説明不要。聴けばわかる」という曲です。







100.テツコ - ノーコメント

99.ATEBOI - 任務

98.ポンポン - 窓の作者

「窓の作者」というタイトルの通り、“窓を作った人”について歌った曲。「窓を作った人ってなんだよ」と思う人もいるかもしれませんが、普通に“窓を作った人”です。何かの比喩でなく、建物に不可欠なあの“窓”を作った人。

歌詞は「窓を開けている人がいる。窓を作った人がいる。窓を考えた人がいる。窓から人がこっちを見てる」と、窓に関する主語述語を淡々と並べるだけなのですが、これだけでなんとも言えない奥深い風景を想起させます。「窓を考えた人がいる」って一文、すごくないですか? 確かに地球上には「窓を考えた人」がいるんだよなあ…と歴史的なロマンすら感じさせます。

曲調もストップ&ゴーを繰り返す少し窮屈な序盤から、徐々に開放感あふれる曲調になっていくのが、窓を開けたときの視界が開ける感じとマッチしていて、素晴らしい。一聴するとチープですが、曲のテーマ、歌詞、アレンジのすべてにオリジナリティが感じられ、量産型のポップスとは一線を画す名曲だと思いました。


97.アンジェリカ - だから、君とfeat.清水章吾
単純にメロディがいい上に、俳優・清水章吾がfeatされている意味不明さが奇妙な魅力を放っています。また絶妙なチープさが聴き心地をよくしていて、70代や80代になっても疲れず何度も聴けるタイプの名曲だと思います。
しかし、この曲の最大の魅力はサビ部分の“ズレ”。アンジェリカと清水章吾のデュエットなのですが、別録りをしているためか、タイミングや節回しにズレが生じていて、歌声がピッタリと重なっていません。この気持ち悪さが、サラッと聴き流させない独自の魔力を与えていて、聴くたびにゾクッとする感覚をもたらしてくれます。2人の歌声をピッタリと重ねたら、つまらなさが少し増すと思います。綺麗にミックスすればいいんだという固定観念を壊してくれます。

96.TOWA TEI - CONSUMER ELECTRONICS (feat. YUKIHIRO TAKAHASHI)

95.ASSKICK - 42
ASSKICKは1980年代後半から1990年代前半まで、山梨県を拠点に活動していた伝説のバンドです。2017年に四半世紀の沈黙を破って再始動しました。今年はアルバム「黄昏」を発表。独特な色気と得体の知れない何かが蠢くような素晴らしい作品でした。

94.Wan Tang わんたん - 誕生日馬券 Happy Birthday To Me!
一聴するとチープなのですが、そんなことがどうでもよくなるくらい、メロディと歌詞が素敵です。特に歌詞はベストリリック・オブ・イヤーを授賞したいくらい素晴らしい。彼氏に誕生日をすっぽかされて傷心しているOLが、自分の誕生日3ケタで競馬に臨んだら大当たりしたという。そんな素敵なストーリー思い付きますか? 歌詞は「オフィスを抜けて平日の競馬場へ やさぐれた女を運ぶモノレール」「私の誕生日すっぽかした浮気者はサヨナラ! 私は誕生日の三桁の数字に賭け続ける」「Happy Birthday To Me! 怒りの三連単 高配当 奇跡よ起これ!」「Happy Birthday To Me! まさかの三連単! 高配当! 奇跡を起こす バースデイガール!」あたりが特に神がかってます。「三連単」「高配当」という単語のサビへのハマり方がすごいし、ギャンブル用語をここまで多用しながら、ずっとキラキラでロマンチックな雰囲気を出し続けてるのは確実に天才の所業です。

93.陸王 - big love

92.Zombie Powder - サイテーな未来の為 最高にイカした今を

91.KOTO - こびないえびない

90.だいち - ノリノリday
恐らく本人が意図しないところで、不思議な魅力が生まれてしまっているヒップホップ。フックの部分は「スカスカ感」「重厚感」という真逆のものが同居するというミラクルが起きていると思います。ミュージックビデオもかなり味わい深かったのですが、残念ながら消されていました。

89.半熟卵っち - make up
半熟卵っちは雑誌「egg」の専属モデルによって結成されたユニットです。「make up」はタイトルの通り、ひたすら化粧について歌われていて、「可愛くmake upおめかし」「好きな風にすぐお絵かき」といった平坦でソリッドな歌詞は、かなり薄まったKOHHイズムを感じさせてクールです。トラックもギャルの気怠さや独特の浮遊感がよく表現されています。
これまでもギャルが歌う曲はあったのですが、DJ KAORIや加藤ミリヤといった音楽的素養があるギャルという感じでした。しかし半熟卵っちのメンバーは、ゆうちゃみをはじめとする音楽イメージのないガチのギャル。その点ではかなりリアルな“ギャル”感があり、数十年後に聴いたときに2021年のギャル文化を濃く感じられるという意味で歴史的価値のある曲だと思っています。

88.KIRA - Mirrorball (feat. Ry-lax)

87.ハシリコミーズ - 限度がわからない

86.めぞぴあのきゃんでぃ - X'matic (feat. 少女)
めぞぴあのきゃんでぃは“姫かわHIPHOP”というジャンルを提唱している2MCのユニット。幼い女の子になりきって書かれたメルヘンなリリックをドープなトラックに乗せていて、かなり衝撃的な発明だと思いました。「X'matic」はクリスマスプレゼントを心待ちにしている女の子になりきってクールなラップをぶちかます曲で、言葉選びやトラックへの乗せ方のセンスが常人離れしていることは聴けばすぐわかると思います。

85.村里杏 - COVID-19 Generation

84.しなちくシステム - ゴママヨ (feat. 東北きりたん)
作者のしなちくシステム氏が提唱している言葉遊び「ゴママヨサラダ」についての楽曲。ゴママヨサラダは、ある複合語の中に連続する同じ音が含まれている状態、およびその複合語のことを指しており「ゴママヨ」「安田大サーカス」「福山雅治」「長期金利」が主な例です。この「ゴママヨサラダ」の概念を知ったとき、「こんな世界があるのか」と非常に興奮したのを覚えています。「ゴママヨ (feat. 東北きりたん)」の歌詞には実際に多くの「ゴママヨサラダ」が含まれていて、試みとして非常に面白いです。思いもよらないアプローチから生まれた楽曲には強烈な個性が宿っていますね。「ゴママヨサラダ」の特設ページもあるので、興味を持った人はぜひ覗いてみてください。かなり奥深いです。

83.油揚げ - 北京ダック (Beatbox Only)
ビートボクサーの油揚げ氏による、口から出た音だけで構成された曲。この手法を使ったアーティストの伝説的存在がDokakaで、特に「Dance Dance Dance」は驚くほどのグルーヴ感とパワーがあります。Dokakaがあまりにもすごすぎるので、この路線で追随するアーティストが長らく現れていませんでしたが、「北京ダック」を聴いたとき、ついにDokakaのソウルを継げる奇才が登場したなと思いました。Dokakaに比べて低音を重視した音作りで腰にキます。

82.Vraid Bunches - UFOです。

81.GEMS COMPANY - 夏色DROPS

80.耳中華 - 残してくれた
「どこがすごい」みたいな分析ができないくらい飛んでる音楽だと思いますし、そこが最大の魅力なので、とにかく聴いてこのヤバさを感じてくれとしか言えません。

79.Okada&Ryo - 五月蝿いキツネ

78.宵待 - Fade

77.Calmera - Golden Hour

76.am8 - Hatsukoi(ft. HANA)

75.Beatcats - カラフルデイズ
Beatcatsはサンリオとセガトイズの合弁事業として展開されている5匹の猫のキャラクター。歌とダンスが大好きなカラフルなニャンコたちです。そんなBeatcatsの楽曲として制作された「カラフルデイズ」は「K-POPっぽい音楽をやりたいんだな」感が出すぎていて逆に清々しい良曲です。特徴的なのはイントロやサビに入ってくる、無機質な猫の鳴き声をサンプリングしたかのような奇妙なシンセ音。この音が無機質感と哀愁を同時に醸し出していて凄いと思いました。

74.9DayzGlitchClubTokyo - fray“Heavy Malfunction side”
最近のアイドル音楽界の一部は「アイドル×●●(音楽ジャンル)」大喜利みたいになってきていますが、2021年リリースされた中で特に良い化学反応が起きていたのはガバの要素を取り入れたこの曲かなと個人的には感じました。ガバ / ハードテクノ / レイヴのようなドラッグと密接に関係している音楽ジャンルですが、アイドルなので「お巡りさんが怖いからクスリはNO」とキッパリ言っているのが微笑ましいです。一方で「お巡りさんが怖くなかったらやってるのか?」という危うさも。

73.美兄 - 大坂なおみち
ヒップホップはフックでどんなメッセージを発信するのかが特に重要視されるジャンルですが、この曲がフックで伝えているのは「男の大阪なおみは『大阪なおみち』」という破滅的なまでにシュールなもの。本当にすごいと思います。前提として楽曲が非常にカッコいいのですが、曲全体はヒップホップカルチャーをフリにした破壊力抜群なボケにもなっています。どんなに衝撃的なリリックを書いても、「大坂なおみち」にはなかなか勝てないよな…と思ってしまいます。

72.Dry Wet Celosia - distance

71.Omodaka - Owase Bushi

70.ずれやまズレ子 - ただいま…おかえり
「一緒に歌って気持ちいいか」は曲にとって非常に大切な要素の1つだと思うのですが、小難しい御託を並べる音楽評論家ほどそういう部分をあまり重要視していない気がします。その点でいうと、ずれやまズレ子「ただいま…おかえり」は覚えて歌うと非常に気持ちよく、その心地よさで70位にランクインしました。「ダッダダッダッダダ」というリズムは体を腰から横に揺らすのに非常に適していて、時折こぶしを利かせているのも日本的なブルースを感じます。そしてサビ前の「ズービーズバッ」の部分、試しに一緒に歌ってみてください。非常に気持ちいです。そしてメロディと歌詞が普通に泣ける。

69.月ノ美兎 - 浮遊感UFO

68.Kitri - 羅針鳥 - Shohei Amimori Rework

67.Salada - すき家の牛丼が食べたい
タイトルや歌詞の捻りの無さがすさまじく、とにかく豪速球という感じ。一発目のフックに入る前の「お前ら、腹減ってっかー!?」「何食べに行く!?!?!?!?」はさすがに面白すぎます。吉野家でも松屋でもなく、すき家なのが面白さを増幅させています。

66.uruwashi - Try Just a Little Bit More

65.The Folie Phantom - Phantom Magic

64.雨模様のソラリス - くらげ雨

63.CASANOVA FISH - 恋がしたい

62.代代代 - EHM

61.ISA. - a secret feeling of romantic
曲の5角形グラフがあるとしたら、メロディが1億点で、それ以外が全部1点と言う感じの、ありそうでなかった「メロディの美しさ1点突破型」の楽曲です。トラックは必要最低限の音数で、歌もお世辞にもうまいといえないし、歌詞もハッとするフレーズは特にない。しかし、とにかくメロディが上質で、なんだったら泣きそうになる。むしろトラックや歌が1点だからこそ、メロディの美しさが際立つ。.ISA.さんのひたむきに音楽と向き合っている感じとか、グッとくるところがありすぎる。とにかく「この感じで、こんなにいい曲なことあるんだ」と衝撃を受けた傑作です。

60.寺嶋由芙 - 彼氏ができたの

59.Perfume - ∞ループ

58.ゴリラ祭ーズ - 有楽町のうた
ニッポン放送と三菱地所が共催した音楽コンテスト「有楽町うたつくり計画」の最優秀賞を受賞した楽曲。滋賀県の大学生が結成したアマチュアのスリーピースバンド・ゴリラ祭ーズが制作しています。
コンテストのために作られたアマチュアの楽曲と侮ることなかれ、異様な聴き心地のよさと温かみを持った名曲です。滋賀県の素朴な大学生3人組が有楽町という地をここまで素敵に彩る曲を作ってしまった奇跡とロマンを含め、後世に受け継がれるべきではないでしょうか。

57.青野りえ - 晴海通り

56.pandagolff - KOREDEWAKARU

55.MCマギー - 雑に話すクラブ
聴いたことない単語の組み合わせ方が多く、「刻む針は 過去の目」「雑に知らす謎解け日」「青春発墓場行き」などは一聴するとわけわからないですが、いろいろ考察したくなります。言葉の置き方も不思議な間が空いていたりして、どこを切り取っても一筋縄ではいかない面白い曲だと思います。

54.Southward - カウンターチューン

53.齊ちゃん - 我希望你

52.MAGICOUR - Wanna Gonna

51.アメフラっシ - Lucky Number

50.Menace無 - Lucky Guess (feat. Young zetton) (Remix)

49.キイチビール&ザ・ホーリーティッツ - すてきなジャーニー

48.Conslo - ハロートゥエンティー (feat. 水音 ラル) 

47.ag feat. 倉先 - everyday

46.bonobos - Not LOVE

45.さっきの女の子、 - は期待するきらい

44.渚 - 緋写し

43.LADY'S ONLY - ex-senpai (feat. 星宮とと)

42.アップアップガールズ(2) - ぱーれぇ~

41.武長RAT - 気功的性活
ポストパンクとファンクの要素が絡み合ったトラックに、支離滅裂な歌詞を投げやり気味に乗せるスタイルがすごくカッコいいです。確かPalais Schaumburgも歌詞がめちゃめちゃだった気がするので、歴史を経て現れたその後継者なのかも。日本だと唯一無二だと思います。

40.モーニング娘。’21 - ビートの惑星

39.Shake My Days - 空はイミテーション
京都のシンガーソングライター・冴沢鐘己と現役女子高生・光希によるユニット。光希さんの見た目や歌声の瑞々しさが凄まじく、ここまでの初々しさをパッケージングできただけでも価値がある。まだ完成されているとは言えませんが、爽やかさの中に独特な不安定さや哀愁も感じさせる歌声で、YOASOBI的なボーカルとは真逆の魅力があります。
2:15からの間奏で見せる、光希さんの遠慮がちなノリと笑顔、めちゃめちゃかわいいです。

38.ちんからほい - いい湯だな
北海道の中標津エリアで放送されているラジオ番組「あーたとわかの23時にちんからほい!」(FMはな)の出演者である“あーた”と“わか”が結成したユニットがちんからほい。あーたさんはシンガーソングライター、わかさんはライブハウススタッフだそうです。そんなちんからほいが出したアルバム「ちーーーんからほい!!!」が、ローカルラジオ番組の一企画として制作された作品にしてはあまりにも出来が良すぎました。特に「いい湯だな」は、緩くて暖かい雰囲気で、聴いているだけで元気が出る名曲。「ちーーーんからほい!!!」は30年後あたりにレアグルーヴとして発掘されて、めちゃめちゃ高価なレアアイテムになるような気がするので、保存しておく自信がある人は購入してみてはいかがでしょうか。2人のダンスに振付師が淡々とダメ出しする動画も面白いので、そちらもぜひチェックを。

37.われらがプワプワプーワプワ - 都心感情線

36.IOSYS TRAX with Chiyoko - 超野生!サバイバルずんど子ちゃん (Extended Mix)

35.ピョコタン - ぼくは令和の座敷わらし
牧歌的なトラックも勿論素敵なのですが、全体的な内容は自分の頭で考えてない人への強烈なアンチテーゼになっていて、実はかなりソリッドな曲だと思います。発信しているメッセージの有用性という意味でも非常に価値が高い。「タバコやお酒 カッコつけてやってみたって人…やってない方が人としてカッコいいし モテるよ!」「厄年だからお守りとかお祓いとかって人…これ単なる悪徳商法だから一切信じないことだよー!」あたりのことを言い切ってる曲はなかなか無いし、奇妙な爽快感があります。

34.Jumping Kiss - クラクラ

33.IN-KYA in Canada - Tokyo Troposite

32.肋骨 - 未来の骨格

31.eldaja - mujintou

30.koguma - ヘジラ

29.佐藤優介 - UTOPIA

28.空気公団 - うたがきこえる

27.KMC - お前の部屋には文鳥が必要だ feat.寅
まずタイトルが100点です。コ●ナ禍(無意味に伏字にしてみました)を反映した曲は出来不出来が激しいですが、それでもやはり歴史的価値がプラスされます。2020年だったらばってん少女隊の「でぃすたんす」、2021年は村里杏「COVID-19 Generation」あたりが、うまく時代を切り取っていて名作でした。そんな中でも個人的な一番はKMC「お前の部屋には文鳥が必要だ」だったんじゃないかと思います。
KMCさんが実際に飼っている文鳥・寅について「外出自粛を余儀なくされるときでも、文鳥のおかげで寂しい思いをせずに済んだ」とラップしています。最初から最後までリリックから完成されていて結構鳥肌ものなのですが、特に「俺はこの方針でコロナに立ち向かっている」「今度会うときまで死ぬなよオイ」の部分の力強さに震えました。
人々が住んでいる部屋とはブラックボックスであり、外出自粛はその孤立性を一層強めます。だからこそ自分が住んでいる部屋以外の“部屋”から発信される音楽が、この時代にはより必要になっていくのではないでしょうか。
なおKMCさんへの文鳥への熱い思いを取り上げた記事もあるので、これを読むと曲の解像度が上がると思います。

26.パスピエ - グッド・バイ

25.神保彰 - シャボンダマ:SHABONDAMA
カシオペアのメンバーとしても知られるドラマー・神保彰が2021年にはソロアルバムを出しまして、大変な傑作でした。その中でも「シャボンダマ:SHABONDAMA」が抜群にキャッチーでノれます。“軽快”という言葉を具現化したような曲で、リズムが跳ねすぎていて笑ってしまいます。フュージョンの質感との相性もバッチリ。

24.フロクロ - ただ選択があった
コードが割り振られたフレーズを4×4に並べて、1小節ごとに4種類の選択肢からフレーズを選んでいくという、あまりにも機械的な手法で完成させてしまった曲。ここまで美しい構造の曲は珍しいです。MVを含めたアート作品といっても過言ではないので映像と一緒に見てほしいです。

23.koguma - ちいさな願い

22.Airi - 平成ギャルのひとりごと Spilling こぼれるほどに
開始してすぐに「今すごく下品なことを言ったけど聞き間違いだろうか?」「これマジで言ってる?」と思うほどにエロい歌詞です。恐ろしいのは、この曲およびアーティストの情報をいくら調べても出てこないこと。Twitterで言及している人も0です。得体が知れない謎の人物がめちゃめちゃエロい歌をこの世にひっそり発表してるの、怖くないですか? 一方で曲自体は2000年前後に流行ったJ-R&B的なサウンドでかなり回顧的。シンプルにめちゃめちゃ素敵です。この曲は一体なんなのか? ふと脳内がこの曲に支配されることがあり、とにかく自分の中での存在感が強烈な作品です。

21.WAY WAVE - SUMMER BREEZE

20.PUFFY - ALWAYS

19.さっきの女の子、 - の一秒先行方不明
展開が急に変わる“スイッチング”がたっぷり楽しめる曲です(スイッチングとは音楽知識があまり無い僕が勝手に使っている言葉です)。僕はこの手法が好きで、自分が作る音楽にもよく取り入れています。
曲調がどんどんスイッチングする作品は時折見かけますが、個人的に一番のヒットがこの曲でした。切り替わり方や順序が常に素敵です。

18.さとうもか - Love Buds

17.The DON of Satisfaction - 濃厚Satisfied
芸人が歌わされているPRソングでは、ときたまPR施策で終わらせるには勿体ないくらいの傑作が誕生します。NON STYLE石田とトレンディエンジェルたかしの氷結プレミアムPRソング、相席スタート・ケイによる株式会社リベルタのPRソングなどは特に素晴らしいです。
「濃厚Satisfied」はハリウッドザコシショウが満足丼のPRのために歌っている楽曲で、ザコシの醸し出す哀愁が強烈なエッセンスになっています。PRソングは意図せず時代の空気感を切り取っていることが多いですが、この曲も2021年の空気を表していたのではないでしょうか。

16.BmF - Moving on

15.高城れに - Voyage!

14.モーリン公美子 - 負けないで My Energy (Remix)
1989年にデビューしたモーリン公美子さんの「負けないで My Energy」は数年前に発表された曲ですが、それをRemixでバキバキな質感にしたのがこれ。元々はもう少し柔らかい印象でしたが、謎にソリッドに生まれ変わりました。
80年代のアイドルソング的な雰囲気に、意図せず音割れはバキバキ感のようなハイパーポップ的要素が加わってしまった令和の奇跡だと思います。曲のメロディ自体も、ツボを押さえた最高の仕上がりで元気が出ます。

13.Tobokegao - 黄泉で足踏み(​Vocal Version)

12.SARD UNDERGROUND - ブラックコーヒー

11.KAICHOO - bebe

10.私立恵比寿中学 - Anytime, Anywhere

9.宇都美慶子 - 恋のget in summer

8.われらがプワプワプーワプワ - 夏の大錯覚系

7.可愛い連中 - 四月

6.chanoma - 甘い衝動

5.Glow of Tokyo - Tower of Dream
Glow of Tokyoは、普段は東京タワーでアテンダントとして働いている12人が結成したパフォーマンスユニット。東京タワーに観光客を呼ぶための新プロジェクトかと思われます。展望台のメインデッキでステージを展開しているそうです。彼らのオリジナル曲「Tower of Dream」はJ-POPマナーに乗っ取った展開が非常に巧みで懐かしく、グッとくるポイントをイントロからアウトロまで次々と押さえてきます。観光施設の企画モノとして舐めていると度肝を抜かれる名曲です。

4.Salan - Secret Base

3.伊藤千晃 - アンドロイド

2.Francis - 反撥

1.SAKUra - 漕ぎ出せ♪ショコラティエ ~これって恋ですか?~

今年の1位はSAKUra「漕ぎ出せ♪ショコラティエ ~これって恋ですか?~」でした。どこがいいとかじゃなくて、もうシンプルに全部が最高です。

この曲を発見した当時、あまりの神曲ぶりに興奮しっぱなしなのですが、情報があまり無く、いろいろ調べると、僕が崇めている伝説のシティポップユニット・東北新幹線の山川恵津子さんが作ったものだということが発覚しました。山川さんの才能の顕在ぶりがうれしく、そんな神曲がどこでも話題になっていないのが恐ろしく、思わずTwitterで「まったく話題になっていないことも只事ではない。俺に何かできることはないのか」と吠えるほどでした。

すると「なんだこの曲は!」と反応してくれる方が多く、とあるラジオ番組でも曲がかかり、さらになんと山川さん本人までにメッセージが届く事態に。

ご本人直々に曲ができた経緯を説明していただき、さらに「もともとは企画用にワンコーラス分だけ作ったが、『せっかくだから2番以降も作って完成させたい』と納品後に仕上げて配信をした」といった話まで教えていただいたりして、これは2021年でもトップクラスに感激したことでした。ありふれた表現ですが、東北新幹線を狂うほど聴いていた高校生の自分に教えてあげたいと、心の底から思いました。いいと思った曲を「いい」と発信するだけで、思いもよらないことが起こるんだなと改めて実感しました。



最後に改めて一覧を。

100.テツコ - ノーコメント

99.ATEBOI - 任務

98.ポンポン - 窓の作者

97.アンジェリカ - だから、君とfeat.清水章吾

96.TOWA TEI - CONSUMER ELECTRONICS (feat. YUKIHIRO TAKAHASHI)

95.ASSKICK - 42

94.Wan Tang わんたん - 誕生日馬券 Happy Birthday To Me!

93.陸王 - big love

92.Zombie Powder - サイテーな未来の為 最高にイカした今を

91.KOTO - こびないえびない

90.だいち - ノリノリday

89.半熟卵っち - make up

88.KIRA - Mirrorball (feat. Ry-lax)

87.ハシリコミーズ - 限度がわからない

86.めぞぴあのきゃんでぃ - X'matic (feat. 少女)

85.村里杏 - COVID-19 Generation

84.しなちくシステム - ゴママヨ (feat. 東北きりたん)

83.油揚げ - 北京ダック (Beatbox Only)

82.Vraid Bunches - UFOです。

81.GEMS COMPANY - 夏色DROPS

80.耳中華 - 残してくれた

79.Okada&Ryo - 五月蝿いキツネ

78.宵待 - Fade

77.Calmera - Golden Hour

76.am8 - Hatsukoi(ft. HANA)

75.Beatcats - カラフルデイズ

74.9DayzGlitchClubTokyo - fray“Heavy Malfunction side”

73.美兄 - 大坂なおみち

72.Dry Wet Celosia - distance

71.Omodaka - Owase Bushi

70.ずれやまズレ子 - ただいま…おかえり

69.月ノ美兎 - 浮遊感UFO

68.Kitri 羅針鳥 - Shohei Amimori Rework

67.Salada - すき家の牛丼が食べたい

66.uruwashi - Try Just a Little Bit More

65.The Folie Phantom - Phantom Magic

64.雨模様のソラリス - くらげ雨

63.CASANOVA FISH - 恋がしたい

62.代代代 - EHM

61.ISA. - a secret feeling of romantic

60.寺嶋由芙 - 彼氏ができたの

59.Perfume - ∞ループ

58.ゴリラ祭ーズ - 有楽町のうた

57.青野りえ - 晴海通り

56.pandagolff - KOREDEWAKARU

55.MCマギー - 雑に話すクラブ

54.Southward - カウンターチューン

53.齊ちゃん - 我希望你

52.MAGICOUR - Wanna Gonna

51.アメフラっシ - Lucky Number

50.Menace無 - Lucky Guess (feat. Young zetton) (Remix)

49.キイチビール&ザ・ホーリーティッツ - すてきなジャーニー

48.Conslo - ハロートゥエンティー (feat. 水音 ラル) 

47.ag feat. 倉先 - everyday

46.bonobos - Not LOVE

45.さっきの女の子、 - は期待するきらい

44.渚 - 緋写し

43.LADY'S ONLY - ex-senpai (feat. 星宮とと)

42.アップアップガールズ(2) - ぱーれぇ~

41.武長RAT - 気功的性活

40.モーニング娘。’21 - ビートの惑星

39.Shake My Days - 空はイミテーション

38.ちんからほい - いい湯だな

37.われらがプワプワプーワプワ - 都心感情線

36.IOSYS TRAX with Chiyoko - 超野生!サバイバルずんど子ちゃん (Extended Mix)

35.ピョコタン - ぼくは令和の座敷わらし

34.Jumping Kiss - クラクラ

33.IN-KYA in Canada - Tokyo Troposite

32.肋骨 - 未来の骨格

31.eldaja - mujintou

30.koguma - ヘジラ

29.佐藤優介 - UTOPIA

28.空気公団 - うたがきこえる

27.KMC - お前の部屋には文鳥が必要だ feat.寅

26.パスピエ - グッド・バイ

25.神保彰 - シャボンダマ:SHABONDAMA

24.フロクロ - ただ選択があった

23.koguma - ちいさな願い

22.Airi - 平成ギャルのひとりごと Spilling こぼれるほどに

21.WAY WAVE - SUMMER BREEZE

20.PUFFY - ALWAYS

19.さっきの女の子、 - の一秒先行方不明

18.さとうもか - Love Buds

17.The DON of Satisfaction - 濃厚Satisfied

16.BmF - Moving on

15.高城れに - Voyage!

14.モーリン公美子 - 負けないで My Energy (Remix)

13.Tobokegao - 黄泉で足踏み(​Vocal Version)

12.SARD UNDERGROUND - ブラックコーヒー

11.KAICHOO - bebe

10.私立恵比寿中学 - Anytime, Anywhere

9.宇都美慶子 - 恋のget in summer

8.われらがプワプワプーワプワ - 夏の大錯覚系

7.可愛い連中 - 四月

6.chanoma - 甘い衝動

5.Glow of Tokyo - Tower of Dream

4.Salan - Secret Base

3.伊藤千晃 - アンドロイド

2.Francis - 反撥

1.SAKUra - 漕ぎ出せ♪ショコラティエ ~これって恋ですか?~

3 件のコメント:

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  2. 毎年たのしみにしています。
    今年も最高でした。

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  3. おもしろかったです
    ありがとうございます

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