先日、植物園に行ったところ、そこで「こども&おとな ラン大賞」というコンクールの作品がズラッと展示されていました。「こんな蘭の花があったら楽しいな」という想像力のもと、自分でオリジナルの蘭の花を粘土で作る企画だそうです。
「あら、いいですね」と作品群をじっくり観賞しましたら、とても楽しい気持ちになりました。大人の部よりも子供の部のほうがパワーがあって良かったです。著作権フル無視のカービィの花とかもありました。その「細かいことは知ったこっちゃねえ」感が力強さの秘訣でしょうか。
逆に大人の部はつまらなかったです。「SDGs」をテーマにした作品とか、そんな感じのものばかりで「そんなに大賞が欲しいか? キッショ!」と思いました。大人になるって、媚び方を覚えることなんですね。
子供たちが作った個性豊かな花を楽しんでいると、1つだけ隔離された謎の作品が目に入りました。
近付いてその作品を見た瞬間、私は雷に打たれたかのような衝撃を受けたのです。
「じゅんのすけ」と名乗る子供が、小さな球を作り、それをコンテストに提出していたのです。
タイトルはズバリ「ちきゅう」。
そう、これは紛れもない、E A R T H を表現した作品だったのです。
みんなが当たり前のように守っている「植木鉢の上に咲かせる」というフォーマットをガン無視。じゅんのすけからすれば、手のひらサイズの植木鉢なんて小さすぎる。彼にとっては地球そのものが蘭の育つ大きな植木鉢だったんですね。
いや、もしくは地球そのものが蘭で、宇宙がその植木鉢なのかもしれません。地球にはたくさんの蘭が咲いていて、そのすべてを表現しようとすれば、地球の形になるのは必然ということでしょうか。そうすると、地球は蘭でもあるし、チューリップでもあるし、紫陽花でもあります。地球には無数の種類の植物が生きていますが、それをわざわざ分類しているのは人間であり、宇宙目線で考えれば「地球」という1つの生物。あらゆる動物や植物が地球とイコールの存在なのかもしれません。
私はショックを受けた状態で、ヨロヨロと植物園を出ました。じゅんのすけはこの先、とんでもない芸術家になるのでしょうか。それともひっそりと健気に日常を生き続けるのでしょうか。彼がどのような子供なのかは一切わかりませんが、植物園の展示スペースにとんでもない作品がひっそりと置かれていて、私は奇跡的にそれと出会えた。あの小さな地球は、私の脳内で自転を止めていた惑星に、隕石として衝突してくれたのだと思います。私の惑星はまたゆっくりと動き出しました。ありがとうございました。じゅんのすけ。
ちなみに、じゅんのすけの作品の背後に「自分の承認欲求を子供で満たそうとするタイプの親」の気配が一瞬よぎりそうになったのですが、すぐに思考を停止させました。そんなことを考えれば考えるほど、つまらない「大人の部」のような作品しか作れない人間になってしまうと思ったからです。私はじゅんのすけを信じています。おばけも。
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