2021年に発表された日本の音楽の中でも特に、異彩を放っていた楽曲を表彰します。
10位:男前キムチ - 男前キムチ
【謎の商品PRソング】
大阪の鶴橋商店街に「三原商店」という店があり、そこで「男前キムチ」という商品を売っているらしく、恐らくそのPRソングだと思われるのが男前キムチの「男前キムチ」です。「男前キムチ」という商品をPRするのが、「男前キムチ」というアーティストの「男前キムチ」という楽曲なの、さすがに男前キムチすぎませんか? 純度100%とはこのことをいうのでしょう。どこで流れているのかは不明です。
↓こちらは「男前キムチ」の通販サイト。気になった方は購入してみては。
https://tsuruhashi-kimuchi.com/
9位:SatoruBagg - Final Temptation
【異次元とはこのこと。常人には理解不能なフロウとビート】
異次元とはこのこと。常人には理解不能なフロウとビート。今年はSpider Gang界隈から影響を受けた日本のヒップホップアーティストがイルな感じを出そうと必死に狂人ぶってるのをよく見かけましたが、本当にイルなのはこの方だというのは紛れもない事実。
8位:しゅーや - なめたけ食べたい
【奇跡】
子供がアカペラのオリジナルソングを歌う、ということは日本全国の無数の家庭で起こっていることかと思います。しかし、それがパッケージ化されて、我々の耳に届くということは奇跡です。家の中で完結し、親しか知り得なかった類の楽曲が世界に放たれていることがロマンチックすぎて、クラッとしてしまいそうです。
7位:榊原佑吏 - 恋愛ディスコード
【全身が震え上がるゾクゾク感】
初めて聴いたときに「このゾクゾク感が欲しかったんだ」と興奮しました。44秒頃の、ギターを止めて「どうして君が泣いてるの?」というところで、思わず「ギャーッ!」と声を出してしまいました。今後もっとすごい曲を生み出してくる予感がしており、目が離せません。
6位:Dragon Small Dog - Man is Dragon
【第一声で面白い、MVも面白い】
歌いだしの「まんっ~」が100点。英語の歌詞なのですが、文法は無視。日本人が海外旅行でやる、単語を並べて意思疎通をはかるみたいな、そういう文章です。曲の歌詞でこの感じなのは初めて聴きました。MVもとても面白いので、ぜひ見てください。
5位:ヨコタ村上 孝之 - 抱っこ
【50代の学者が幼児になりきって歌うスカム音楽】
HASAMI groupのニュースサイトを作るとき、とにかく一番気持ち悪い名前にしようと思い、キモさを追及した結果に辿り着いたのが「だっこ」でした。そしたら大阪大学の言語文化研究者のヨコタ村上孝之さんも同名の曲を作っていて驚きました。そして私が目指していた気持ち悪さを曲中でも完璧に表現していました。1分27秒からの「だぁ~かぁ~らぁ~」と言い方、1分56秒からの「だっこ、めっちゃ気持ちいの」のくだりはかなりすごいです。全体を通してとにかく気味が悪い。なぜ学者がこのようなスカム音楽を生み出したのか、背景はわかりません。
4位:nine - gun gun gun.
【拳銃に憧れる中学生のあの感じを見事に楽曲化】
サウス系のヒップホップよりも銃声が多く入っている曲が日本にあるのかと私は唖然としました。それがnineの「gun gun gun.」。開始1秒で3発の銃声が鳴り響き、そのあとに「デュン♪」という謎のシンセ音。さらにそのあとも銃声が鳴りまくり、曲が幕を開けます。その後は「gunを引き出し引き金鳴らし発砲していきなりキチガイ」から始まる怒涛のラップ。危険すぎる。その言葉は浅井健一ではなく、nineのためにあったのかもしれません。
3位:ロシュ・ゴールド - セックスヴィーナス
【リリックがすごすぎる】
リリックがすごすぎる。「何があったんだ」と心配になります。最初は「YEAH YEAH! SUCK MY DICK! SUCK MY DICK!」とスラング全開でものすごくセクシャルで過激なリリックなのですが、途中からただの愚痴になっていきます。この面白さは聴かないとわからないので、とにかく体験してください。ある女性への怨念がどんどんヒートアップしてきて、どんどん文章が長く説明口調になり、どんどん早口になってくる。
2位:桜華春樹 - 桜舞えパーリナイ
【盛りあげたいという気持ちが痛いほど伝わってくる】
2021年は桜華春樹と出会えたというだけでいい年だったなと思えます。そのくらい素晴らしいアーティストです。彼の名曲「桜舞えパーリナイ」の素晴らしいところは、「とにかく盛りあげたい」という作り手の気持ちが異様なほどに伝わってくることだと思います。「ゆったりしたイントロから一気に盛り上げる感じのことがしたい」「Aメロはラップで盛りあげたい」「2番で『さくら』のサンプリングをすることで、聴き手に『うわー! ここにきて敢えて日本の古典音楽を取り入れてきた!渋くてカッコよすぎる!』と思わせたい」など、やりたいことを詰め込んだんだろうなということがわかります。
1位:solohighlife - everyday
【伝説の一小節余し】
今年は、どう考えてもやっぱりこれでしょう。歌詞の冒頭を削ることで、最後の1小節を余らせるという伝説級のテクニックで度肝を抜いたsolohighlife「everyday」が2021年の1位です。JAPANESE REAL MUSICってこういうことだから。この曲のすごいところは下記記事で詳しく解説しているので、ぜひそちらも読んでください。
今回紹介したような楽曲をひたすら収集している「JAPANESE REAL MUSIC」という
Tumberをやっていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。