2020年11月14日土曜日

HASAMI group「DOITORA」制作コラム①

■インターネットまた会おう

日本で日々リリースされている曲をすべて聴くという試みをしていると、いろいろ気付きがあります。個人的にもっとも強く感じたのは「歌詞に情景描写の割合が減ってる」ということ。ここ最近の曲は「俺はこう思っている」「君はこうだ」「俺と君はこうした」という人間の心理や行動の描写は多いのですが、空の描写、街の描写、季節の描写などが明らかに減っている。昭和や平成初期あたりの曲と比べると。で、あるとしても詩的な表現が全然ない。歌詞に自然が全然出てこない。

これはスマホの普及によって、人々が自然や街を全然見なくなったことと関係あるんじゃないでしょうか。「そんな分かりやすく影響出るかな」って思いますか? でもやっぱり、空や植物の変化から季節の移ろいを感じたり、街に漂うわびさびなどを感じたり、そういった感覚を現代人は失っているのではないでしょうか。

「DOITORA」完成に向けて本腰を入れ始めた夏、僕はインターネットを見てる時間を自然や街を見ることから始めました。いつか電脳世界から引退するときがくるかもしれませんが、今回はお試しで離れてみました。インターネット、また会おうと。


■「Recapture」について

「Recapture」は「愛」「君」「好き」という言葉が出てくるので恋愛ソングだと勘違いされることがあるのですが、特に恋愛のことは歌っていません。「音楽をフラットな目線で評価してます」的な人々に対するムカつきを歌っています。「アーティストの人間性は嫌いだけど、曲は好き。作品と人間性は切り離して評価しなければいけない」みたいな人、ムカつかないですか? アーティストの人間性が嫌いだから、その人の作る曲全部嫌いでよくない?とか思っちゃうんです。もっと感覚的な好き嫌いでよくない?という。そもそも曲の評価なんてその日の体調すら影響する、無数の要素が絡まり合った繊細なものだと思います。「作品だけ切り離して評価」とかできないんじゃないでしょうか?

飯を食えば美食家が星を付けるような物言いで気の利いたグルメコメントを放とうとする男
ラブストーリーを観たら映画祭の審査員のような物言いで採点を始める29
食べたものの感想なんて「うまい」「まずい」でいいはずなのに、産地や調理方法といった情報を含めて分析して美食家のように味を分析する男。評論家気取りの投稿をする人々。映画を観たら「好き」「嫌い」でいいはずなのに、自分の好みを置いといて、作品として分析してフラットに点数をつけようとする29歳の女性。→「食べログ」「Filmarks」など、なんでもかんでも点数化するサイトが増えていることに対する不信感。
そんなことはどうでもいいんだ
俺はもっと感覚の話がしたい
フラットでいるならば死んでしまえ
お前の分析・採点なんてどうでもいい。もっと好きか嫌いかの感覚の話がしたい。フラットに分析・採点するというのは、人間が赤ん坊の頃からあった根源的な感覚「快・不快」を捨てるようなもので、そんなんだったら死んだほうがいい。作品の分析なんてAIがすればいい。
犬が下水を飲まないことに理由はない
犬は危険性を分析して下水を飲まないわけではない。感覚的に避けている。それは正しく、そういった感覚的なものが大事なのではないか。
俺が君を愛しても論文を提出しなくてよろしくお願いしま あっ
人が人を好きになったとき、それは感覚で好きなんじゃないのか。論文で好きな理由を分析する必要なんてなく、ただ「好き」でいいのではないか。
人の顔を感じ取り
言葉を出しつつも
好きな人に愛されたい
それが人生だろ
好き・嫌い、感覚的な愛に生きる。それが人生なんじゃないのか。
君の中に落ちていった鍵を探さなくちゃね
君の中に落ちていった 僕が奪い返すわ!
君の中に落ちていった言葉を
君の中に落ちていった 情熱をもう一度
鍵→理由なんてなく、純粋何かを好きと思う大切な心
俺は2.0も3.0も必要なくなり
電脳通信から引退を宣言し
叔父の牧場で気持ちいことをしまくって遊ぶ
それが新世代のAOKI 頭がとってもスッキリしている
Web2.0もWeb3.0もいらなかったんだ。インターネットなんていらなかったんだ。自然に生きて心地いいことをする。それが新世代の俺たちなのだ。(その上で悲しいことに僕は「インターネット向きすぎ君」なのですが)
日々のビートを伸ばし切り
唄を歌いつつも
好きな人を感じてたい
それが人生だろ
好き・嫌い、感覚的な愛に生きる。それが人生なんじゃないのか。

君の中に落ちていった鍵を探さなくちゃね
君の中に落ちていった 踏みにじられた愛を
君の中に落ちていった この暑さのせいで
君の中に落ちていった 消えた青畳

鍵→理由なんてなく、純粋何かを好きと思う大切な心
そしてごめんなさい、最後の青畳だけは自分でも意味がわかりません。

そんなことを踏まえて改めて「Recapture」を聴いてほしいです。
もっといい歌に聞こえてくるのではないでしょうか。


4 件のコメント:

  1. こういうのありがたいです。

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  2. これは嬉しい。製作コラムの続きを楽しみにしています。

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    1. あ、あとラジオも楽しみに待っていますのでまたぜひ更新してください。

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  3. またこういうのだしてくだちい

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