2025年2月8日土曜日

「【第13回】YouTubeベストビデオ100 -2025年-」補足説明


「YouTubeベストビデオ100」のコメント欄は封鎖しているのですが、公開してからしばらく解放されていましたので、封鎖しました。この間にコメントしてくださった5名の方は「せっかく書いたコメントがすぐ非表示になる」という理不尽を味わうことになってしまったと思います。申し訳ございません。コメント、大切に楽しく読ませていただきました。


「YouTubeベストビデオ100」は仕方なくダイジェスト形式になっていますが、全編観ることで良さがわかるもの、短時間には良さが収まっていないものが多く含まれるので気になった人はぜひタイトルで検索して元動画をチェックしてみてください。その上で、多少の補足説明が必要そうなものは下記に書いています。




93位:Dementia: Hyperreality of the State of Perception of Society

https://www.youtube.com/watch?v=V2OIqtckpFo

カビゴンを低画質で撮影しただけのクオリティの低い動画だが、タイトルには難解な言葉が並び、説明欄には「オランダでの個展用に制作したアート フィルムです。当時、この作品は大きな論争を引き起こし、ショーの主催者はこの作品を撤去せざるを得なくなり、その結果、ドイツ政府からオランダでの上映を禁止されました」と記述されている。コメント欄にも難しい脳科学用語、哲学用語、芸術用語が並ぶ。動画の内容と、それに付随する文字情報の高低差が異様な雰囲気を放っており、それを含めた唯一無二の動画となっている。タイトルやコメントが映像をどう意味付けしているのか含めて1つの世界を形成していることをよく表している。


87位:ハナコ岡部大 母校さ帰る

https://www.youtube.com/watch?v=VxtntjTOcGw

ハナコ岡部が母校の小学校に凱旋したときのニュース映像。そこに映った1人の女児(1:47~)のリアクションが1年生にしてはビックリするほどに大人びていた。表情や手の動きが女子大生くらいのそれなのだ。これはもはや衝撃映像のレベルだと思う。


86位:初めてお酒を飲んだ日

https://www.youtube.com/watch?v=Go8MzrkUwOU

芸能人、インフルエンサー、YouTuberではない“本当のただの一般女性”がひっそりとVlogをアップしていて、すべての再生回数が10回以下……というチャンネルがYouTubeには無数に存在している。そういうジャンルがあるとしたら、この動画はその部門における今年の1位だろう。

成人したばかりの投稿主が家族と一緒に初めてお酒を飲んだときを記録しただけの他愛もない映像だが、そこには著名人には絶対に出すことができない“生活のまどろみ”が表出している。平坦なテンションで繰り広げられる親との会話、飼い犬との戯れ、うっすらと聞こえるテレビの音、この世でもっとも平和な沈黙……学生時代好きだったあの子もこの光景を毎日のように作り出していたが、それを私は絶対に見ることができなかった。その分身を今、YouTubeで見ている。


81位:あの人に聞きたい/熱海の名物店主 正木延衛さん(神奈川県湯河原町)【NEXT特捜隊】

https://www.youtube.com/watch?v=SdgSCCkCV0g

熱海の老舗お茶屋「茶千」に正木延衛氏という名物店主がいる。しゃべっているうちにどんどんテンションが上がってきて何を言っているかわからなくなってしまう特性を持っており、たびたびロケ番組などで面白おじさんとして取り上げられている。この動画はそんな正木氏に静岡新聞がインタビューをしているものだ。彼はいつものように、話しているうちにテンションが上がってきてしまうが、それが最高潮に達したところで突然冷静になる(0:39~)。この瞬間がすごい。テンションが上がり続けるとそのまま発狂してしまうので、一定のところまで到達すると、機械の冷却装置のようにスンと熱が冷めるようになっているように見える。これは脳の機能の1つなのだろう。これは、そんな人間の機械的な部分が偶然にも記録されてしまった貴重映像だ。バラエティ番組ではカットされる部分がYouTubeでは見られることを再認識させるものとしても重要な価値を持っている。


74位:ちんどん与論興業舞台

https://www.youtube.com/watch?v=HIQM3NzCZHE

信じられないくらい大勢の人が出てくる。


71位:【 音MAD 】アーケードゲーム × アリス・ゲーム 2【 東方 】

https://www.youtube.com/watch?v=UHGoOBNeL_c

レトロなゲームセンター、観光地のゲームコーナー、デパートの屋上遊園地といった場所で稼働している筐体を巡り、動画に残している「もずのニッチゲーム紹介」はとんでもない資料的価値があるチャンネルだ。巡った場所の数がとにかくすごい。

その集大成の1つとして制作されているのが「音MAD」。今まで巡った場所をMAD動画にしてまとめるというアイデアには投稿主の情熱と執念、そして失われることのない子供心が詰め込まれている。MAD動画の素材をすべて自分の脚だけで調達するのがどれだけの労力なのか想像がつかない。いつ消えるかわからない全国の筐体を巡り、そこにいるキャラクターたちを仲間にしていき、最後は全員でオーケストラを奏でているようなすごみと感動がある。現代の桃太郎か。いや現代のサトシか。いやサトシは現代か。じゃあ現代の桃太郎でいいのか。


70位:77歳おかんと料理2023 10 21昼@TORU #vlog

https://www.youtube.com/watch?v=EFTpLGY9FSY

長尺や別視点カメラで全部見せてくれるのがすごい。


69位:sing@magic

https://www.youtube.com/watch?v=EFTpLGY9FSY

ずっと見ていると何故だか笑いが止まらなくなってくる。でも、ふと泣きそうにもなる。


68位:リトアニア大使が松屋で1日店長 コラボ料理発売 各国が熱視線“フード外交”の狙い【ワイド!スクランブル】(2024年10月23日)

https://www.youtube.com/watch?v=DHfvC0SYni8

松屋で期間限定メニュー「リトアニア風ホワイトソースハンバーグ」が発売された際のニュース映像。リトアニア大使のジーカス氏が1日店長となり、客の1人に感想を聞くのだが、その客の食レポがうますぎる。簡素になることもなく、冗長になることもなく、適切な尺で完璧に味を伝え、その魅力を存分にアピールしている。

一歩間違えればあの名作動画「オタクのインタビュー」の再来になりそうな雰囲気も漂っていたが、それもいいフリになっている。彼がなぜこんなに食レポに慣れていて、仕込みのような完璧なコメントを放ったのか、一生解明されることはないだろう。


62位:この女子高生が異常すぎる!新しい学校のリーダーズらしい、おとなぶる~この子ら売れる!ATARASI GAKKO!

https://www.youtube.com/watch?v=LZc0T4yJv7c

新しい学校のリーダーズに対する“リアクション動画”を画面直撮りでやってしまった衝撃映像。モニターの中で完結していた2次元の世界に、3次元の人間が無理やり乱入してきた。


57位:はまやねん 逆再生

https://www.youtube.com/watch?v=GiCFMeLJWyY

「はまやねん 逆再生」というタイトルにセンスを感じる。「8.6秒バズーカー 逆再生」だったらランク外だったはず。


52位:Beatmania Kouryaku Point

https://www.youtube.com/watch?v=7dnySVM07bE

ダブルプレイの場面、くっつきすぎている気がする。挿れているようにすら見える。


46位:風250120【休憩前】

https://www.youtube.com/watch?v=ykDR_2pL-q8

福島県で活動している「福島男声合唱団」のYouTubeチャンネルでは、日々の練習の様子が長尺でアップされているが、団員の顔は一切映しておらず稽古場にかけられている時計のみを映している。この発想は意外となかった。

ピアノと合唱に合わせ、学校で見かける“あのタイプの時計”が刻々と進んでいく光景は、合唱コンクールの練習で味わった独特な時間経過の感覚を生々しく思い出させる。そこに自分はいなかったはずなのに、この空間で過ごした時間をなぜか思い出させる。これは架空の記憶の一種か? とある空間を長尺で切り取る場合、人間を映すよりも時計を映すほうが「その場にいる感覚」を想起させる。すごい発明かもしれない。


45位:麺処わこうの娘第3話 お子様セット/かわいいな

https://www.youtube.com/watch?v=VCVgG2QsE70

自作アニメをアップしている「川越アニメーション」なるチャンネルの作品。ラーメン屋で、初老に見える男性が「お子様セット」を頼もうとするが、断られて泣いてしまうというグロテスクな設定に反して、ストーリー自体には笑いどころ、感動どころ、ハラハラどころ、ほのぼのどころなどが全てない本当の“無”。オチもない。何も起こらない“日常系”が流行った時期もあったが、本当に何も起こらないとただ不気味なだけなのだと思い知らされる。


43位:12時間、競歩、油淋鶏

https://www.youtube.com/watch?v=SBrXGMK4Hjo

何気ない単語3つを言うだけの「三単語日記」という動画を日々アップしている謎の女性の動画。この人の頭の中では「12時間、競歩、油淋鶏」という3つの単語に関連性や意味があるのだろうが、視聴者にとってはどういう意味なのかがわからず、逆に無限の思想の世界に誘ってくれる。そもそも今の時代、この極私的すぎるコンセプトはかなり痺れる。


42位:【西武電車フェスタ2010】2000N系2097F 飯能行臨時電車 武蔵丘車両検修場を発車【2010/6/6】

https://www.youtube.com/watch?v=ZEMK3Bz6Mv0

電車を待っているゆるキャラの後ろ姿になんともいえない哀愁が漂っている。電車が来たときは手を振っているのだが、電車が来るまでの棒立ちは、あまりゆるキャラで見られない姿な気がする。彼らは「人々に待たれている側」であることは多いが、「何かを待っている側」になることは少ないからだ。珍しく「待っている側」になっているゆるキャラの後ろ姿が、ロケーション、画質バッチリの状態で映されており、味わい深いだけではなく、癒しすら感じる。


41位:【側面展望】西武2000N系2097F 「電車フェスタ2010」臨時電車 武蔵丘車両検修場~飯能【2010/6/6】

https://www.youtube.com/watch?v=Q8gF9hy_Po4

逆に、ゆるキャラが手を振っている光景を車内から捉えた映像。窓の外に突如としてゆるキャラが現れる光景もシンプルに面白いが、先ほどの動画を観ていると、より「待ってくれていた感」が出て愛おしさも増す。ちなみに先ほどの動画の別視点バージョンだと思いがちだが、そこにはいなかったゆるキャラが1体追加されているので、恐らく別視点の動画ではないようだ。しかし撮影日は先ほどと同じで、「どういうこと?」と混乱せざるをえない。その不可解さも加点ポイントとなっている。


37位:クポモコさんぽ in 須川の埋没林

https://www.youtube.com/watch?v=BoXVx6rIN04

変な喋り方の男性が奇声を上げながら散歩する動画。何を言っているのかわかるところと、わからないところがある。歩いている場所が都会ではなく田舎という点が「この人と遭遇しても簡単に助けを求められない」というスリリングさを増幅させている。

「クポモコちゃんねる」は意図不明な内容の企画動画が数多く投稿されており、それぞれがシリーズ化されている。チャンネル全体を通して不気味なオーラを放っている。都会で奇声を上げている動画をアップする人は「人前で奇声を上げているところを見てほしい人」だが、誰もいない田舎で奇声を上げている動画をアップする人は「奇声を上げたい人」で、そのヤバさには天と地ほどの差がある。


36位:日テレ公式【仮装大賞】カチカチ山の狸

https://www.youtube.com/watch?v=7Q1vhFwS3ug

仮装大賞だというのに、モタモタしていてムカついてくる。


34位:ガストの日替わりスープの具をたくさん取る方法です。

https://www.youtube.com/watch?v=ml_px0TjU-4

「ガストの日替わりスープの具をたくさん取る方法です」と言ってはいるが、何回見ても普通にすくったときとの違いがわからない。しかも1回目は失敗して、2回目は成功らしい。失敗した1回目をなぜカットしなかったのかという疑問も残る上、1回目と2回目の違いもよくわからない。あと最後のフタをするところがすごく乱暴なので、「みんなで使ってるものをそんな乱暴に扱うなよ」という苛立ちもある。How to 動画としての出来が非常に悪く、悪すぎて貴重映像の領域に突入している。


32位:サラダ

https://www.youtube.com/watch?v=_JFQwWi2Bh0

ここまで見る者を苛立たせるサラダの動画はあるのだろうか。恐らく取り分けようとしているのだが、何1つとしてうまくいかない。この動画の流れを整理すると以下の通り。

①パリパリサラダをトングで真っ二つにしようとするができない。

②パリパリサラダをトングで割ろうとして上に乗っている卵が落ちそうになる。

③なぜそこを掴むのかという部分をトングで掴むがうまくいかず諦める。

④ドレッシングのかけ方が気持ち悪い。

終始モタモタしており、見ているだけで癇癪を起こしそうになるが、この合理性のなさは奇跡。道を歩いていると、自転車でぶつかるギリギリを走ってきたりする人や、横を見てノロノロ歩きながら追突してくる人がいて、「何を考えているんだろう?」と不思議に思うことがあるが、そういう人たちがサラダを取り分けようとするとこうなるような気がする。思考回路が違うのだと大目に見ることも必要だし、目に余る場合はちゃんと注意することも必要なのかもしれない。


26位:キチガイの銭の戦争

https://www.youtube.com/watch?v=c73dBes27m4

戦争なのに平和を感じる。最後の「こいつが殺されたくなかったらチャンネル登録よろしく」のところ、意外とその発想はなかった。


24位:群馬県太田市に遊びに来たけど、全然楽しくなくてブチギレ

https://www.youtube.com/watch?v=5Gwwa3DamVQ

何もない場所に行って「何もなくてつまんない」とハッキリ言うだけの動画。行った場所に何もなく、時間を持て余してしまうという地獄の瞬間が人生にはあるが、それが切り取られている。空も、外ですることがなくなってしまい途方に暮れているとき特有の曇り方をしている。これまで注目されることのなかった“あの時間”が切り取られている。


23位:また今度

https://www.youtube.com/watch?v=u5BOisV_t5E

中学生男子たちが「また今度」と言いながら別れるところを撮影しただけの動画。「また今度」という言葉のかけがえのなさを感じ、二度と戻ってこない青春の日々を思い出し、なぜか泣きそうになってくる。かなり殺傷能力の高いノスタルジー。


22位:昼飯かけてうけつさんとボトルフリップチャレンジやってみた

https://www.youtube.com/watch?v=2gbPvZ4-QKY

子供2人が交互にボトルフリップに挑戦し、やっていないほうはパンを食べるという遊びに興じている。失敗が長引けば長引くほど、自分の食べる分が少なくなってしまうという意外と面白いルールだ。そんな中、4:20から奇跡が起こる。

2人ともゾーンに入ってしまい、ノーミスで10回連続で成功する神がかった時間帯があるのだ。パンを食べようとしても相手がすぐにボトルフリップを成功させるので、まったく食べられない。ゾーンから抜けたあとはビックリするくらい失敗を繰り替えすようになる。あの奇跡的な時間帯はなんだったのか。しかし子供時代に“そういう瞬間”はたびたびあった。それを記録した貴重映像だ。


20位:10円の森を走るプラレール鉄道!

https://www.youtube.com/watch?v=59hseqgevhY

10円を並べて森に見立てるという発想がなかったため衝撃を受けた。「10円の森」という発想のヤバさ、あなたには分かるか?恐らく子供の頃には到達できた発想だが、大人になるにつれて失われてしまったのだと思う。

このチャンネルでは、「10円の森」以外にもさまざまなところにプラレールを走らせているが、ジオラマの概念を軽く飛び越えるものばかりで、イマジネーションが刺激される。「身近でありふれすぎている小さいもの」から大きな建造物や自然をイメージするという高度なことをごく自然に、簡単にやってのけている。


18位:【閲覧注意:私の顔が見れます!】これが国家宗教の神だ!

https://www.youtube.com/watch?v=nm0K68qbtrU

「ゆっくり解説」が1つのジャンルとして定着し始める2020年の5年前、2015年に投稿された古い「ゆっくり動画」。この時代は解説動画の占める割合が低かったので、「ゆっくり解説」ではなく「ゆっくり動画」。

この動画には、霊夢、魔理沙、フランの3人が登場。そして霊夢のルーツが徳仁天皇、魔理沙のルーツが明仁天皇であることを主張する。そしてフランはこの動画の投稿主がルーツだと話し、投稿主の実際の顔が映し出される(20年前の画像らしく、昭和の指名手配犯のような雰囲気を放っている)。この時点で何を伝えたいのかが不明瞭で、ウケを狙っているのか、大真面目に電波な主張を発信しているのかわからない。その後、フランは「私の本当の声は」と言い出し、突如暗くて低い中年男性の声で「こんな声だ」と告げ、わずかに「はぁ…は」という吐息が聞こえる。これも投稿主の肉声だろう。ゆっくり動画の世界と現実世界の狭間を一瞬で曖昧にする衝撃の瞬間だ。絶対に表に出るはずのない動画作成者がいとも簡単に目の前に現れ、こちらに語りかけてくる様子は、動画と視聴者の間にあることが当たり前とされていた“柵”がいとも簡単に崩れることを示唆している。

そして最後は画面が突如暗くなり、やはり支離滅裂な長文が画面いっぱいに表示され、「終」の文字が大きく映し出される。通底して流れる不気味な空気は、最近流行りの“不気味な謎のCM”のようなフェイク感は皆無。10年かけて安定して固まったはずの「ゆっくり解説」のフォーマットに大きな空洞が生まれるような、じっとりとした不安を感じずにはいられない。


17位:実家のお墓へ行く道

https://www.youtube.com/watch?v=0VNba7FCKJI

大前提として「実家のお墓へ行く道」をネット上にアップしてはいけないと思うのだが、投稿主はそんな常識を軽々と超える。そして、その道がやたらと獣道。なのに歌いながら向かっている。このわずかな秒数の中で、さまざまな掟破りをしている。


16位:嘘聖地 #27

https://www.youtube.com/watch?v=4zR3JVg0_YU

聖地でもなんでもない場所を「嘘聖地」として撮影し続けるチャンネル「嘘聖地巡礼」。その試みが素晴らしい。ただ適当な場所を上げているのではなく、場所のチョイスや画角になんらかのこだわりを感じる。センスが抜群。どの動画を見ても、ノスタルジーや消えていた記憶が蘇ってくるような不思議な感覚を覚える。


15位:もえろ!バッカルコーン2『女子社員編』

https://www.youtube.com/watch?v=lCuy_oQpG_c

「YouTubeベストビデオ100」では、何がいいのか説明不能な動画の「なんか良い」を積極的に評価することを推進しているが、この動画はその極北といえる。自分ですら何がいいのかわかっていない。この音質で鳴るこの曲が好きなようにも思える。急に曲調が変わるところや、最後の断末魔のような終わり方がツボに入っているようにも思える。女の人がオフィスカジュアルで気の抜けたダンスを踊っているのが刺さったようにも思える。前の女の人がする「目が笑ってなくて、口だけ笑ってる表情」が自分の性癖に突き刺さっているようにも思える。単純にこの女の人が好きなようにも思える。実はこの女の人と人生のどこかですれ違っていて、無意識にノスタルジーが爆発しているようにも思える。

1ついえるのは「もえろ!バッカルコーン2『女子社員編』」には客観的に説明できるよさがあるわけではなく、極めて個人的な“何か”がこの動画に対してビンビンに反応しているということだ。それを100個集めるのが「YouTubeベストビデオ100」であり、この動画が好きだから俺は俺なのだ。すべての人間には、それぞれの「もえろ!バッカルコーン2『女子社員編』」があるということを思い出させてくれる。


4位:そば

https://www.youtube.com/watch?v=ZhLHxZ072Aw

蕎麦を作って食べるシンプルな動画だが、途中でむせる。人がむせる瞬間をここまで生々しく記録してしまった映像はあまり見ない。そして、むせたあと、突然何かに気付いたような顔で「あれ?」と静止するが、何事もなかったかのように食事へと戻る。この「あれ?」がすごい。何が「あれ?」だったのかが一切わからない。一生わからない。そこに味わい深さとロマンを感じる。


3位:リアル鬼ごっこ lander

https://www.youtube.com/watch?v=7Ti6FBKZzr4

表情、声、リズムのずれ方、声の大きさなどのあらゆる要素が絡まり、信じられないくらいに心が揺さぶられる。悲痛な祈りにも見える。この一年間で、もっとも音楽で心を揺さぶられたのはこの動画かもしれない。尾崎豊「I Love You」音楽を最大限まで丁寧に歌うと、こうなるのでは。とも思った。あとタイトルの意味が我々視聴者には一切わからないのですが、恐らく本人の中では思考の道筋があってこれになっていると思うので、その「わからなさ」もグッときました。

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