2025年1月13日月曜日

日本で撮られた海外のミュージックビデオ2024

インバウンド需要の爆増により、海外からの観光客がすごく増えました。これに伴い、日本で撮られた海外のミュージックビデオの数も急増しています。そこで2024年に発表された「日本で撮られた海外のミュージックビデオ」をまとめ、「日本の街をどれだけ魅力的に映しているか」という観点で勝手に100点満点で採点することにしました。ちなみに点数は客観的なものではなく、私個人の好み、思想、トラウマ、持病などが存分に反映されています。反映されすぎておかしなことになっています。


01. SARAMALACARA feat. Hatsune Miku - 10percs(3月14日公開)

一発目でいきなり歩きタバコをしている時点で終了です。最低限のマナーは守ってください。

【点数】失格




02. White Shoes & The Couples Company - Hidup Hanya Sekali(4月17日公開)


世界ツアーをしている道中で撮影したプライベート映像をMVにしているようで、日本以外にも台北やソウルの映像が出てきます。VLOG的で楽しそうな感じは伝わってきますが、ハッとするようなきれいな景色なども特になく、日本の魅力が出ている感じではそれほどありませんでした。

【点数】14点



03. Foreign Fields - Faultlines(4月19日公開)


1970年代くらいの古い質感の映像で現代の日本を切り取っています。かわいい女の子を単なるアイコン的に使っているMV(サムネはその女性の顔のアップ)があまり好きではないのですが、これはその類で、せっかくの日本の景色が、彼女を引き立てる装置みたいになっていて、あまり調和していないかな…という感じでした。

【点数】8点




04. Buddy feat.Huey Briss  - Got Me Started(5月8日公開)


海外のラッパーが日本でMVを撮ると、「イケてる俺が日本でも大暴れ!」的なアピールをただただ見せられている気がしてあまり面白くないことが多く、そのまま日本を乗っ取られるのではないかという恐怖さえ感じます。海の向こうからの侵略を恐れる島国の民族の本能(=地理的要素による日本国民性の劣等感)がDNAで刻まれている感じがします。しかし、このMVではそこまで大暴れしてないというか、お行儀のいい部類なので、そこまで恐怖や不安は感じませんでした。ただ、途中に出てくる着物姿の方が「ラッパーを連れていることで自分も強くなっていると勘違いしている人の表情」をしてしまっており、「お前はそっち側に取り込まれるんだな」と裏切られたような気分になり、純粋に楽しめませんでした。歩道橋でパック寿司を食べているシーンは少し面白いです。

【点数】10点



05. Cannelle - LUCKY(5月13日公開)


日本のカルチャーを感じさせるシチュエーションとして、ブックオフを選んだのはなかなかいい感じだと思いました。秋葉原の街並みだとやり尽くされています。ただ、ブックオフ以外のシーンに日本感がなく、このMVの日本感をすべてブックオフが担っています。これを物足りないととるべきか、潔いととるべきかは、評価が分かれるところです。僕としては、さすがにブックオフの店内に居すぎというか、もう少しブックオフの外にも出てほしいと思ってしまいした。

【点数】18点



06. John Carroll Kirby - Mates(5月24日公開)

今回初めてとなるストーリー仕立てのMVです。高円寺の街を舞台にした逃走劇で、人を軸にしていながら、その後ろの景色を切り取るセンスのよさが際立っていて、街の魅力も存分に伝わってきます。おじさんが十字路の真ん中で奇妙なダンスを踊るシーンもカッコいいですが、通行人の邪魔になっていないかだけがやや気になってしまいました。ゲームセンターのシーンではbeatmania IIDXをプレイしているのに合わせて、スクラッチの音が挟みこまれるのもいい感じです。正直これまでのMVとはレベルが違うかなと思いました。

【点数】90点



07. Lime Cordiale - Cold Treatment(6月4日公開)

新宿の歌舞伎町近辺で撮影されているのですが、背景があまり魅力的に映っておらず、街を注意深く観察することが足りてないかなと思いました。街を見せるMVではなく、あくまでアーティストの2人を見せるMVという印象です。MVの出来としては何も悪いところはないのですが「日本の街をどれだけ魅力的に映しているか」という観点だと点数は伸びません。この観点を設定したのは私なので、すべての責任は私にあります。

【点数】5点



08. Alpha Wann x Shakira - Hips don't Lie (Remix)(6月10日公開)

ラッパーですので、「イケてる俺が日本でも大暴れ!」的なアピールがどれほどのものかを注意しながら見る必要があります。このMVに関しては、そこまで大暴れしてないというか、お行儀のいい部類なので、そこまで恐怖や不安は感じませんでした。怖がらせないでくれてありがとうございます。野球のスイングからバスの電光掲示板が一瞬映るところ(0:55~)、車を運転するマイムから「飲酒したら運転しない」の文字が映るところ(1:28~)などがカッコよく、日本語を映すタイミングが面白くて効果的だなと思いました。あと家系ラーメンの看板や飲食シーンも現代の日本を表現するアイコンの1つとして機能しています。ただハッとする美しいシーンは少なめかもしれません。

【点数】70点




09. Hot Tubs Time Machine - 50 Shades Of Marcus(6月26日公開)

とにかくいろんな場所を映しています。たくさんの景色を見れて楽しいですが、引きの画が多いことも相まって、グッとくる何かはないというか、「日本旅行ダイジェスト」という感じに終始してるような気もしてしまいました。曲には合っています。

【点数】16点



10. MANDARK - DJV(8月9日公開)

東京の夜で撮影されたMVは、背景がただのネオン群としてしか使われていないことが多く、これもそんな感じがしました。「街を映したいというよりビガビガが欲しいだけなのでは」とか思ってしまいました。コンビニの駐車場の喫煙スペースではないと思われる場所で男性がタバコを吸うシーンがあり、失格にしようかと思いましたが、歩いていないのでギリセーフということで、-10点とさせていただきました。

【点数】-6点



11. Freya McKee - Blue(9月18日公開)

これまでのMVと比べると、電車やタクシーの車内の映像が多めでそこに少しオリジナリティがあります。Freya McKeeさんがどこでもうまい具合に街に溶け込んでいて、画角などがしっかり考えられている印象でした。どこも魅力的に映っています。奈良の鹿も出てきて、かわいいです。

【点数】78点



12. Elita - Masturbating in a Coffin(9月23日公開)


全体的にホラーテイストで、日本の風景な不気味な部分をうまく切り取っていると思います。玄関を映すモニター、降っている雪などがいい味を出していました。

【点数】75点



13. Sadistik - 60(10月10日公開)

あまりしっかり風景が映っておらず、普通にイマイチでした。全体的にふわふわした印象で、何かにしっかりとピントが合ってる感じがなく、酔っているときに歩く街の見え方に近いかもしれませんが、街はなるべくシラフで見たいものです。

【点数】3点



14. Fiji Blue - Start Over(10月11日公開)

日本観光中に回していたカメラをそのまま繋げた感じで、可もなく不可もなく。特に鋭い観察眼を感じることはなく、ボーッと街を歩いて、面白いロゴや看板をとりあえず写真に収めていくみたいな感じでした。角海老から飛行機のカット(0:18~)は少し面白かったです。

【点数】6点



15. Attic Ocean - Lilies and Sea(10月12日公開)

日本人の女の子2人が東京の街で楽しく遊んでいるところを映したスト-リー仕立てのMV。女の子2人が主役という感じで、これといった印象的な街のカットも特になく。缶ビールや缶チューハイを飲みながら街を歩いている人があまり好きではないので、そのシーンが普通に嫌でした。「ゴミ箱が見つからず、笑いながら『ごめんなさーい』とか言ってどこかに置いてきてそう」など、よからぬ想像をしてしまいました。缶チューハイにエモさを見出すのはありがちなので、MVに使うのはそろそろやめにしてほしいです。これがデカビタのペットボトルとかだったら珍しさで、すごく点数を上げていたと思います。

【点数】4点



16. SLUR - Scream(10月15日公開)

ノイズがかった画質とエフェクトがおしゃれなのですが、視界の一部が欠けてチカチカしている感じが片頭痛前の閃輝暗点を想起させて、少し具合悪くなってしまいました。映像としてはカッコよく、街も素敵に映ってるのですが、まともに見られないという点でマイナス50点とさせていただきました。

【点数】20点




17. Incognito - Nothing Makes Me Feel Better

メインはダンサー。全体的に夜の街をいい感じに切り取っていると思いますが、日本独自の魅力が薄い気がしました。ツッコミどころも特にありません。個人的にはツッコミどころはあるほうが好みです。

【点数】15点




18. EARTHGANG feat.Pharrell Williams - U Gotta

EARTHGANGとPharrell Williamsが秋葉原の道を闊歩しています。全体的にセンスが素晴らしく、飛行機のミニチュアを持って歩くシーンは特に面白いですが、「俺様のお通りだ」感が出ていて、日本人たちは道を開けなければいけない雰囲気が出ていました。出ていないと言われても、私はそう感じたのです。あと観光客がよく乗っているカートのシーンも出てきますが、あれも嫌いなので、テンションが下がってしまいました。あれに乗ってる人が出してる奇声が嫌いです。

【点数】17点


19. james K - ⁎𝐻𝓎𝓅𝑒𝓇𝓈𝑜𝒻𝓉★𝐿𝑜𝓋𝑒𝒿𝒾𝓃𝓍✶𝒥𝓊𝓃𝓀𝒹𝓇𝑒𝒶𝓂✸

風景というより、街のアイテム1つひとつにスポットを当てている感じで、街をよく観察しているなと思いました。日本のアイコン的なものもたくさん出てきますが、サラッとしていて、過剰な日本感がなくてよかったです。

【点数】77点



20. Collie Wave - Oasis!

韓国のアーティストなので、これまでの人たちに比べると、街並みにもあまり新鮮さを感じなかったのでしょうか。そこまで街がちゃんと映されていません。というか全体的に薄暗くて、なんかよく見えませんでした。

【点数】2点





ということで、点数順はこのような形になりました。


John Carroll Kirby - Mates【90点】

Freya McKee - Blue【78点】

james K - ⁎𝐻𝓎𝓅𝑒𝓇𝓈𝑜𝒻𝓉★𝐿𝑜𝓋𝑒𝒿𝒾𝓃𝓍✶𝒥𝓊𝓃𝓀𝒹𝓇𝑒𝒶𝓂✸【77点】

Elita - Masturbating in a Coffin【点数】75点

Alpha Wann x Shakira - Hips don't Lie (Remix)【70点】

SLUR - Scream【20点】

Cannelle - LUCKY【18点】

Hot Tubs Time Machine - 50 Shades Of Marcus【16点】

Incognito - Nothing Makes Me Feel Better【15点】

White Shoes & The Couples Company - Hidup Hanya Sekali【14点】

Buddy feat.Huey Briss  - Got Me Started【10点】

Foreign Fields - Faultlines【8点】

Fiji Blue - Start Over【6点】

Lime Cordiale - Cold Treatment【5点】

Attic Ocean - Lilies and Sea【4点】

Sadistik - 60【3点】

Collie Wave - Oasis!【2点】

MANDARK - DJV【-6点】

SARAMALACARA feat. Hatsune Miku - 10percs【失格】




全体的な話だと、昔に比べると渋谷のスクランブル交差点を使うのは安直すぎてみんな避ける傾向を感じました。あと日本は坂道が美しいので、そこに着目して、高低差で魅せる人がもっといてほしかったです。Антоха МС「Тokyё」は全体的に高低差が美しいです。今まで見てきたMVの中で一番日本の風景を魅力的に見せているのはOko Ebombo「Iro」で、点数にすると180点くらいになってしまいます。これを超える200点のMVを観てみたいです。自分で作る能力はないので、出てくるのを祈ることしかできません。

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