生きてる人、生人(いきびと)です。
今年もこの季節がやってきました。
「今年痺れたテキスト大賞」は、今年グッときたネット上の文章のベスト10です。
前年のベスト10は以下でした。
【今年を総括】今年痺れたテキスト大賞2013
10 両親不在のクリスマス
9 全国ランキング
8 チャック・ノリス伝説
7 歌い手
6 サマージャンボ宝くじ
5 デリヘルでショートコント100連発
4 「アンタお寿司屋さんか?」
3 カーチャンありがとう
2 ブルドッグが描かれたTシャツ
1 ボトルアクアリウムやりたいお
今年の1位は何かな?それではスタート!!
【第10位】
大学時代一人暮らししながらネコ飼ってた
就職してずっとネコは実家に預けて殆ど忘れていたんだけど、ある晩何故かそのネコの夢を見た 夢の中で俺に甘えてくるネコを撫でながら、こいつ最後のお別れに来てくれたんだな、と急に気が付いて 「今までありがとうな」って泣きながら別れの挨拶をした
翌朝実家に電話したらそのネコ全然元気だった。
通称「実家の猫」。2008年初出の傑作コピペ。 「感動→裏切り→一安心」という緊張と緩和をさらに発展させた流れが見事。 良い話かと見せかけておいて、何も良い話じゃなかったんだけど、それが一番安心の結末だった。
【第9位】
【朗報】ジャスティンビーバー、ヒグマを撃退する
ロシアの42歳の漁師Lgor Vorozhbitsynさんが釣りへ行く途中、ヒグマに襲われた。ヒグマに顔と胸を引っかかれ、死を覚悟した時に携帯電話が鳴り出した。
着信音に設定されたジャスティン・ビーバーの「Baby」が響き渡り、ヒグマは驚いて森へ逃げた。
珍事・珍ニュースに沸いた印象のある2014年だったが、その中でも、密かにトップクラスの狂気を放っていたニュース記事がランクイン。 誇張され大げさに伝えられるジャスティンのカリスマ性がついに、彼と全く関係ない場所でも発揮された。ジャスティンが地球を救う日も近い?
【第8位】
健康ランドの露天風呂の竹壁が倒れて女風呂が丸見えになった
駐車場にいた俺と積み下ろししてたおっさんとイカついにいちゃんがそれを目撃したわけだが
その時露天風呂にはオバさんオバーさんしかいなかった
オバさんが「キャー!みないでぇ!」だの喚いてたら
積み下ろしのおっさんが「フンッw」って鼻で笑って車に乗ってった
それにつられてイカついにいちゃん「グロみせんなよ」と一言、健康ランドへ消えてった
締めを任された俺は「まるで贅肉のバーゲンセールだな」と一言残し家路についた
あの時の3人には何か見えない絆で結ばれていたのだと思う
こちらも2ちゃんねるの傑作コピペ。まず単純に、1人ずつ何か言って去っていくというシチュエーション、その一言がどんどん気の利いたことを言わなければならない感じになっていくそのプロセスが面白い。偶然にも3段落ちの最後を担う役割を任されることとなった彼が苦し紛れに何かうまいことを言おうとしてひねり出した一言の、切れ味の悪さは圧巻。うまいことを言えているのか言えていないのか少し考えただけでは判断がつかないこの絶妙な微妙さ。しかし、最後の一文から彼自体は「決まった!」と思い込んでいることも伺え、さらに面白い。深く考えるほど、笑いどころが存分に用意されている秀逸なコピペ。
【第7位】
ゆとりの根性を叩き直す学習塾を設立したいんだが?
1: 名無しさん 2014/03/31(月)15:18:46 ID:FdOltret2
全寮制でみんなすれ違う時は腰を130度曲げて深々と挨拶
ゆとり 「どうもこんにちは!」
俺 「こんにちは!元気な挨拶はいいですね!」
ゆとり 「はい!そうですね!」
こんな塾にしたいんだが??
6: 名無しさん 2014/03/31(月)15:23:14 ID:FdOltret2
俺 「農家のおじいさん!!」
ゆとり 「おばあさん!!」
俺 「おいしいお米を」
全員 「ありがとうございます!!」
ゆとり 「手をあわせて!!!」
全員 「いただきます!!」
みたいな感じでご飯食べたいんだが?
11: 名無しさん 2014/03/31(月)15:25:58 ID:foqNEf2Rw
130度“に”曲げるんじゃないの?
130度も曲げたらそれはもう敬ってなくない?
17: 名無しさん 2014/03/31(月)15:28:55 ID:FdOltret2
»11
おまえみたいな賢い奴は入学できなくするよ
36: 名無しさん 2014/03/31(月)15:39:30 ID:DB4DHSCpG
つかさ130度も体曲がんないんだけどストレッチでもすんの?
39: 名無しさん 2014/03/31(月)15:40:09 ID:FdOltret2
»36
おまえみたいな賢い奴は入学できないから安心しとけ
今年の3月にVIP板に立てられた驚異のスレ。通称「ゆとり塾」。
このご時世に何故か、バリバリの軍隊主義を推し進めようとしている>>1の主張も面白いが、その言葉の端端に独特の面白さが醸し出されている。「~だが?」で語尾を統一させていることや、塾長を務める>>1の謎の元気、幼稚園のようになってしまっている給食の挨拶など、>>1が相当高度な笑いを狙っていることが伺える。この面白さが理解できないクズどもは、普通に「いまどき、そんな教育ダメだろ」的なことを言ったり、全然面白くない部分に引っかかっているが、そういう低能をあえて「賢い奴」と呼び、冷静に対処する>>1の技量が素晴らしい。100点満点の対応だ。
同じことを指摘されれば、動じずに同じ返しをする。この微妙な異様さは、極上なまでに繊細な笑いだ。
【第6位】
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/14(金) 23:05:22.29 ID:K1r3Js/B0
俺が書こうか?面白さは保証する………「かもよ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/14(金) 23:05:56.14 ID:nesMkSaq0
»6
書いて書いて展開は好きにしていいから
8 名前:書き手です。。。 :2014/02/14(金) 23:07:08.39 ID:K1r3Js/B0
じゃあ書きます。
浮気系ヤンデレでいきやす
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/14(金) 23:09:32.02 ID:E5+HQl/+0
»8
そのコテきもいからやらんでいいわ氏ね
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2014/02/14(金) 23:13:41.37 ID:nesMkSaq0
頼んどいて悪い、俺気分悪くなってきたから寝るわ、吐き気がヤバい…
いわゆる「くぅ疲系」と呼ばれるSSの書き手系のコピペには凄まじい文章が多い。毎年、狂気的な痛さと寒さが渦巻いた傑作が多く生みだされるジャンルである。そのような文章群から、今年はさらに一歩先へ進んだ作品が生み出された。
この文章には圧倒的な「理不尽」が存在している。
前半、「書いて」とせがまれていて、割と得意気になっているSSの書き手。しかし、名前を変えた瞬間に別の人にキツい一言をかけられ、さらに頼んだ張本人からも「やっぱ書かなくていいよ」という追い打ちがかけられるという、唐突に奈落へと突き落とされ、さらに落ちた死体にさらに落石が直撃するかのような素晴らしい構成。
「頼んどいて悪い、俺気分悪くなってきたから寝るわ、吐き気がヤバい…」
この文章から発せられるなんとも言えない魅力。SSの書き手の「かもよ」という独特の口調や「書き手です。。。」という気持ち悪い名前、誰もが感じていた微かな不快感を解消するかのごとく、悪気の全くない病人が書き手を理不尽へと突き落す。最後の一文はまさに極限まで完成されたレスであり、ここからは一文字の増減も許されない。
【第5位】
童貞を捨てても何も変わらない、たいしたことないという言説が主流を占めているが、俺に関しては当てはまらなかった。
25という遅い初体験を済ませて、俺は変わった。圧倒的な自信を手に入れた。
女に声をかけて、デートの約束をし、口説いて、自宅に連れてきて、セックスする。
その一連の行動を習熟することによって、俺は変わった。
それまでの俺は、女が怖かった。敵わない相手だと思っていた。女は俺の自尊心を破壊し、蹂躙してくる敵だった。
だが、童貞を捨てることによって、女は敵じゃなくなった。
今なら言える。どんな女でも、俺は相手にできる。目に見えるすべての女が、俺の抱き女(だきめ)候補だ。
年上だろうと年下だろうと、結婚してようが彼氏がいようが、関係ない。
童貞を捨てて、俺のSNSやケータイの電話帳は意味合いが変わった。そこに載っている女は抱き女(だきめ)候補リストであり、抱き女(だきめ)候補ネットワークだ。
スケジュール帳の意義も変わった。カレンダーは抱き女(だきめ)候補とのデートの予定を埋めるためのものになり、メールはLINEは抱き女(だきめ)に話しかけるためのものになった。
女が大勢いる場所に行くと、俺は身震いする。どの女を相手にしようか、誰を抱き女(だきめ)にしてやろうかと。
経験人数が増えるたびに自信の度合いは指数関数的に増大していき、今では何も怖くなくなった。
草食系男子が増えている昨今、女は有り余っているのだ。いくらでも捕まえられるのである。
そして、大学進学率が上がり、物分かりのよくなった女は、一度セックスしたくらいでこちらを束縛しなくなった。
むしろ、奔放なセックスライフを送っている方がオシャレなのだと思うようになった。
今日も女が一度きりのセックスをしたことを、自慢気にツイッターに書き込んでいる。
俺は変わった。強くなった。昔の貧弱な俺はもういなくなった。今はただ、一人でも多く良い女とセックスしたい。抱き女(だきめ)にしたい。それしかない。
「はてな匿名ダイアリー」に投稿された長文。最初は、単なる男の自分語りかに思われたこの文章。しかし、読み進めていくうちに気付く。「こいつ、"抱き女(だきめ)"というワードを使いたいだけだ!」と気づかされる。抱き女(だきめ)というワードの放つ圧倒的な面白さのせいで、途中から文章が入ってこない。もう全く内容が頭に入っていないまま読み進めていっているのに、抱き女(だきめ)と言葉が出てくるたびに、「待ってました」と狂喜する。途中から、読み手はただただ「抱き女(だきめ)」の登場を渇望するだけのマシーンと化してしまうのだ。恐ろしい文章である。
【第4位】
【吉兆】斎藤佑樹の頭上に虹色の蝶が舞い降りる
日本ハム斎藤佑樹投手(25)が2日、完全復活へ、力強く踏み出した。
キャンプ初のブルペン入り。67球を投げ、終了後には志願して計40球を追加する100球超の熱投を見せた。
右肩関節唇損傷によるリハビリで絶望のふちにいた昨年キャンプから1年後。周囲も感極まるほど、復調気配を見せ「景色が変わった」と感慨に浸った。
5カ所ある名護のブルペンのど真ん中に立った。後方には大社オーナー代行ら背広組の球団幹部。山田GM、栗山監督ら首脳陣が集結した。
26球目を投げ終えると、虹色に輝いた1羽のチョウが舞い込み、頭上で優雅に舞った。 「昨年のこの時期は投げられなかった。それを考えれば喜びは感じています」と話した。シュートもテストした。スライダー、フォークも織り交ぜる力投。女性の球団広報まで、その姿に感極まった。
「これもうわかんねえな」「神話かな」「なんか怖いぞこの記事」などの感想と共に、多くの者に衝撃を与えた日刊スポーツの伝説の記事がランクイン。斎藤佑樹の「主人公感」を出すために、フォーマルなニュース記事とは思えないほど誇張され、ストーリーチックに書かれたこの記事は、「ニュース記事とは淡々と出来事だけを記述する文章」という我々の固定概念を軽くぶち壊す。この記事から醸し出される宗教臭は多くのネット住人に波紋を巻き起こし、カオスの世界へと誘った。「七色の蝶」や球団広報の描写など、明らかに余計な記述もこちら側を混乱させまくる。もう何もかもがよく分からないこの文章、自分は最初見た時にそのあまりの意味不明さに5分ほど泣き笑いが止まらなかった。
【第3位】
最近彼女は免許を取った
何回か落ちてたからよっぽど嬉しかったらしい
今日、ふたりでランチに行ったんだけど会計のときにポイントカードを持っているか聞かれると免許証をチラッと出し、
「おっと免許証が…うふふ(*´∀`)」ってやってた
2ちゃんねるのカップル板のとある書き込み。これほどまでに短い文章で女性の可愛らしさを描いた文章はあっただろうか。少なくとも私はここまで威力のある文章は初めて見た。やはり、女性は見た目より中身であり、この仕草・行動の可愛らしさはどんな顔の可愛さをも軽々と凌駕する。
【第2位】
昨日の話なんですがお昼寝にとある蕎麦屋(駅地下にある蕎麦屋)で起きた事件。
テーブル席は満席だったのでカウンター席に座り1800円する天ぷら蕎麦屋を注文し待つ事10分。
ザルに蕎麦が盛ってありツユと海老、大葉、南瓜の天ぷら、山葵は自分で卸せるようにそのままの山葵が出てきました。
その隣に小さい入れ物に入ったお湯?みたいなのがついていたので自分は蕎麦をほぐす用のお湯かと思い蕎麦にかけてほぐしていたらそれを見ていた店員らしき人間がゲラゲラと笑いコッチを見てきました。
自分と目が合い厨房から出て来た店員はそれは蕎麦湯ですよ´´
と詳しく教えてくれたんですが明らかに笑いを堪えてるし馬鹿にした感じでした
近くにいたサラリーマンにも聞かれ笑われ物凄い恥をかき、また物凄い腹だらしくなりついキレてレジ横にあったタヌキの置物を蹴飛ばしてしまい一部がかけて警察沙汰になり店側は修理代に請求されました。
この場合は払わなければ駄目でしょうか?
Yahoo知恵袋に投稿された衝撃の質問。丁寧で大人しめの雰囲気が漂う文体で、特におかしな部分が見当たらないまま文章が続くが、終盤、唐突にタヌキの置物を蹴飛ばす質問主の姿が本当に素晴らしい。文体と行動のギャップ、蕎麦湯の間違いを指摘されてキレてタヌキの置物を蹴飛ばしてぶっ壊す質問主の姿、は想像するだけで面白すぎる。凄まじい面白さを放った稀に見る怪作テキストである。
【第1位】
動物園でチンパンジー7匹が樹木の大枝を折って「はしご」を作って脱走
8 名前:名無しさん[] 投稿日:2014/04/13(日)18:06:45 ID:ZAVd3n6dG
はじごなんか使えるのか
教育すれば忍者として使えそうだな
今年、2ちゃんねるに立てられたスレッドのタイトルとそれに対するとあるレス。ニュースの内容自体の面白さ、猿の奇妙な行動、ぬるま湯のような平穏なテンションで放たれる「教育すれば忍者として使えそうだな」という的を得てるのか突飛なのかよく分からない感想、はしごを使えることに関心するというリアクションとして正解なのか不正解なのかよく分からない食いついきどころ、はしごを何故わざわざ「はじご」と間違えてタイプしてしまうのかの謎、それら全てが共存することで生み出される徹底的な混沌・狂気・謎の平和感…全てにおいて極限までハイレベルな究極のテキスト。何から何までが噛み合っていないような、全ての言葉が夢の中にいるような、ここから放たれる美しすぎる死の匂い、あなたは感じることができるだろうか。
今回も上位2作品はレベルが高すぎて、「これ、何が面白いの?」と思う人が出てくるかもしれない。それは残念ながら、完全にその人の感性がこのテキストに追いついていないと言わざるを得ない。乱暴な言い方をしてしまえば「理解の範疇を超えてる」のだ。そのような人たちが、ネット上でこのような文章をよんでも、それが凄まじく面白い文章であることに気づかず、スルーしてしまうという現実が悔やまれる。それほど素晴らしいテキストである。
今回は書き手が特にウケを狙ってるわけではない作品が目立った。既に「狙った笑い」は時代遅れなのかもしれない。もし、我々が文章を用いて、「時代の先を行く面白さ」を提供したいなら、もう自分で書くよりも、真面目に書いている人たちの真面目な文章の中から生まれた不確定因子的な「面白」をかっぱらって、それを「究極の面白」として再提示するしかないのかもしれない。
だがそれは、逆に言えば、この世界の誰もが、今回のような素晴らしい文章を生み出す可能性を秘めているともいえ、その「面白」を我々若者が見出し、価値発掘していくのが大事なのかもしれない。
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